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走れ!
一年の時の持久走で、俺は桃城に負けた事があった。
アイツは短距離や中距離の方が早かったが、何故か
その年の持久走は負けた。
「・・・桃城、お前は何時間くらいなら走れる?」
「・・・まぁ遅く走って2時間くらい、持てばいい方じゃねぇの?」
「・・・じゃあ、走るか?」
「無理でしょ?
後ろから、銃持った先輩たちがいるんだからな」
俺と桃城の後ろには、不二先輩と大石先輩が銃を手に立っている。
銃は構えられてはいないが、いつでも撃てる状態なのだろう。
「・・・なんで先輩たちは、こんなことを?」
「今はチーム選、多く仲間が残っていた方が勝ちなんだ。
だから権力を持ったまま、終盤まで俺たちを生かしておきたい。
そして個人戦に戻ったら、殺しやすいように・・・だろうな」
俺は全てを悟っていた。
優しそうな顔をして近付いてきた不二先輩が、俺たちを利用している
事も、大石先輩が越前を気絶させてここまで連れてきた事も。
「・・・逃げ出して、助かる保障なんてないんだぜ?
それに仲間が死んだら俺たちの命もない・・・」
「・・・不二先輩たちは死なない。
だが、ここに残れば俺たちの命はない」
俺は眠ったままの越前に目をやった。
まだ起きる気配すらなかった。
「越前は置いていく。それしかない・・・」
「・・・わかった」
桃城は仕方ないという表情をして、立ち上がった。
「不二先輩、ちょっとトイレ行ってきます」
「桃、早くね」
俺は座ったまま、桃城を見上げた。
そして、持久走で負けた時の記憶が蘇った。
あの時も、座り込んだ俺に手を差し伸べたのは桃城だった。
「先輩、海堂の腕、血が出てますよ?」
「そう、じゃあ治療しておくよ」
「大丈夫っす。掠り傷ですから」
俺はそういうと、不二先輩が土の上に置いた銃に目をやった。
腕を見られている時と、不二先輩が油断しているのが分かった。
桃城が木の奥に入ったと同時に、俺は銃を奪い不二先輩を殴った。
「すいません・・・」
銃を片手に、俺は桃城の後を追った。
不二先輩は倒れていた、それに気付いた大石先輩が俺を見ていた。
「海堂!」
ただ走るしかなかった。
逃げるためだった。
暫く走ると、桃城の背中が見えた。
「・・・桃!」
「海堂、大丈夫だったか?」
立ち止まると、桃城は息切れをしていた。
あの時とは逆だった。
「お前、異常だわ。
あんだけの距離走って、俺より息上がってないんだからな」
「・・・まぁ・・・」
一先ず、俺と桃城は身を隠す為に洞窟に向かった。 |