ss.67 この世の果て

 

 

 

 

まさか、13歳の人生がこんなに悲しい物だと思わなかった。

 

もっと楽しく学生生活を送っているものだと思っていた。

 

こんなに辛い現実なら、生きていても意味はなかった。

 

 

 

「この世の果て」

 

 

 

「この世の果てか・・・・・。

 

まさか海堂と2人で生き残るとは、な」

 

 

 

「そうだな、まさか・・・・・」

 

 

 

俺は小さい頃から、“人には親切に”と教えられてきた。

 

母親は優しい顔をしているから、人に避けられた事がないのだろう。

 

父親からは“自分の気持ちを大切に”と教えられた。

 

自分の意思で、ここまで生きてきたが、それも後悔している。

 

 

 

「桃城、カケをしないか?

 

俺かお前、どっちかが、あの島に辿り付いたら、ここから抜け出す。

 

もちろん、船なしでここから放れるなんて、自殺行為だけどな」

 

 

 

「あぁ、あの小島か。

 

いいぜ、退屈してんだ」

 

 

 

小さな島は岩でできていた。

 

その上に木が数本立っていたが、人が住める様な広さはなかった。

 

 

 

「この崖から、飛び込むが、意義はないな?」

 

 

「もちろん」

 

 

 

一斉に飛び込むと、夏だというのに海が冷たく感じた。

 

最後の悪あがきだったが、結構しんどかった。

 

 

 

「海堂、あの島から、ここに戻ってくるのは海岸に行かないと無理だぜ?」

 

 

「戻ってくることはないだろうな」

 

 

「・・・俺もそのつもりだ」

 

 

 

服を着たままの姿では、海水は重く身体に圧し掛かってきた。

 

体力も限界で、視界が霞んでくると、俺は沈み掛かっていた。

 

 

「海堂?」

 

 

「・・・・大丈夫だ、まだ死ねない」

 

 

目の前に見える島が、家の庭にある木にみえた。

 

庭では、母親がいつも綺麗に手入れをしていた。

 

 

 

「海堂・・・」

 

 

「・・・・・」

 

 

 

この世の果ては、島の一部の小島だった。

 

最後のカケなんて嘘だ。

 

俺は死ぬために海に飛び込んだんだ。

 

 

 

「海堂・・・」

 

 

 

桃城は一緒に飛び込むべきじゃなかった。

 

俺は1人の友人を殺してしまったことになる・・・・

 

すまないな、桃・・・・。

 

 

 

桃城の声が聞えなくなると、やっと身体も心も軽くなった。