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涙枯れてしまうくらい
今、目の前で人が倒れています。
彼は誰でしょうか、顔はズタズタに刺されていて分かりません。
でも、よく見ると僕と同じ学校の制服を着ています。
髪は白くて逆立っていて・・・・・。
そうです、彼は・・・彼は・・・・。
「亜久津、今日も部活来ないのか?」
南は少し恐れながらも亜久津に声を掛けた。
テニス部の部長という事もあるが、何よりも戦力を南は彼に望んでいた。
「行くわけねぇ〜だろ。」
冷たく背を向けて歩く亜久津の後ろを南は着いて行った。
「着てくれないと困るんだ、後輩にも示しが付かないし。
それに他校と争いなんて、出場停止にでもなったら・・・。」
突然足を止めた亜久津は振り返り言った。
「俺なんて止めさせたらいいだろ、南。
ここはダブルスの名門なんだろ。
だったらダブルスとシングルス3で決めたらいい事だ。
千石だって確実にシングルスで決めるだろ。」
亜久津の言葉を南は以外に思った。
「うちの部の事、結構知ってるんだな。
いつも来ないから全然興味ないのかと思ってた。」
少し驚いた表情の亜久津は笑う。
「あぁ、俺だって結構詳しいんだぜ。
太一や千石に嫌って位聞かされてるからな。」
南は歩き始めた亜久津の後ろに続いて行く。
「昔、テニスしてたらしいな、何で止めちまったんだ?
俺なんかより実力も体力も素質もあるのに、何で・・・。」
亜久津は以外にも淡々と応え始めた。
「・・・つまらなかったってのもある・・・。
嫌味って訳じゃないが昔っからそうなんだよ。
何でも人一倍簡単に出来ちまう。
そんなのが続いて・・・・。
元々、折り合いが悪かったからな。
方親って事もあったし、色々因縁つけられた・・・・。」
亜久津は学校内にある自動販売機で立ち止まった。
「少しはまともに出来ると思ったテニスも・・・
先輩の妬みってやつかね・・・・。」
そのままベンチに座った亜久津は言う。
「でもな、俺はいつでも自分を強いなんて思ったことはない。
いつも自分では納得できなかったからな。
しかも今まで俺は強い相手に恵まれなかったようだ。
早く出会っていたら、俺の人生も変わってたかもしれない。
千石みたいに強い奴にな。
いつかあいつを倒してみたいもんだな・・・・。」
缶がからに成ったのか亜久津は自分の手から缶をゴミ箱に捨てた。
その缶が音を発てて落ちると南に向かって言う。
「青学に、越前に負けちまって悪かったな。
散々、偉そうな事言って。」
校門に向かう亜久津に南は言った。
「俺、待ってるからな。
全国大会でお前を待ってる、お前はウチの大切な戦力だからな。」
亜久津は振り返らずに学校を出て行った。
「亜久津、俺・・・全国大会で待ってるって言っただろ。
待ってるって・・・待ってるって・・・・。
やっと本気になれるモノ見つけたんじゃないのかよ。
亜久津・・・・・・。」
人の死って悲しいモノなのかな。
何故、嫌っていたはずのあいつの思い出が蘇るのだろうか。
アイツなりに悩んで生きていた事も俺は知っていたからか・・・。
それとも同情なのだろうか・・・。
ただ、俺の中で何かが起こっているのは確かだ。
だってこんなにも涙が溢れるんだから・・・・。
「全国でお前を待ってるって言っただろう。」
何で・・・・もっと早くお前に話し掛けなかったんだろうか・・・。
涙枯れるくらいに泣いているのは悲しいからか
悔しいからか、俺には分からない。
でも・・・俺たちが此処にいるのは事実だ、嘘じゃない。
涙枯れてしまうくらい、涙が溢れてくる・・・・。
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