反応時間

 

 

 

 

 

 

「赤也、少し遅れたぞ」

 

 

「すんません、副部長」

 

 

 

 

立海大付属中学公式庭球部の練習は、どこの庭球部よりもキツイ。

 

それは部員になった1年前から、身体で実感していた。

 

俺は新入生では敵なし、3年の中でも敵はいなかった。

 

しかし、俺の前にはデカイ障害物があった。

 

全国優勝校のエースになるには、その障害物が邪魔だった。

 

3年よりも数倍強い、2年の3人は俺を上から見下ろしていた。

 

 

 

 

「切原、お前は俺たちよりも強くなるかも知れないね」

 

 

 

 

今では弱々しく、ベッドの上に横たわっている。

 

突然の病気で、いつ死ぬか分からないと言われている。

 

 

 

 

「・・・・それなのに、何できたんだよ。

 

アンタは休んでいればよかったんだ・・・・」

 

 

 

「そうだね、でもこれもルールだから・・・・・」

 

 

 

 

俺は、どうすればいいのかと、頭を悩ませながら、

 

誇りまみれのベッドから放れた。

 

 

 

 

「赤也、いつか人は死ぬものだと知っているか?

 

それが事故でも何でも、死ぬ時はいずれ来るんだ・・・」

 

 

 

 

ここで死ぬのは、俺もアンタも同じなのかも知れない。

 

 

 

 

「赤也、また明日・・・。

 

俺が生きていたら、俺を殺してくれないか?」

 

 

 

 

「嫌だ。それは・・・」

 

 

 

「赤也にしか頼めない。

 

それにもう直ぐ、時間が来るからね」

 

 

 

 

あと1日と6時間で、13人を殺さなければならなかった。

 

そうしなければ、全員が死ぬことになる。

 

立海で生き残っているのは、俺と幸村部長だけだった。

 

 

 

 

「1人でも生き残って欲しいんだ。

 

命って1つでも大切なものなんだからさ」

 

 

 

 

「大切なモノか・・・」

 

 

 

 

地下にある廃病院を出ると、俺は呟いた。

 

 

 

 

「これからは、生き残るのは1人だけ・・・」

 

 

 

 

しかし、俺は反応できなかった。

 

人の出すスピードを明らかに凌駕していたからだ。

 

 

 

 

「矢?」

 

 

 

 

真っ赤に草が染まった事だけは理解できたが、あとは何も理解できなかった。

 

 

 

 

「・・・ウソだろ・・・」

 

 

 

 

霞んだ目が、自分を殺して欲しいと言った人を写していた。