破滅への輪舞曲 Rondo to Ruin

 

 

 

 

 

 

 

人が正しいと定めたモノの半分は誤りがある。

 

それは光在れば闇が在る、それと同じ事だ。

 

世界の掟であり、森羅万象の掟である。

 

空は光を産み、地は光を受け影を創る。

 

 

 

跡部景吾は光である、誰もが認める最高の光だ。

 

彼の実績は素晴らしく、また彼自身もそれに相応しい輝きを持っていた。

 

 

 

氷帝学園中等部はテニスの名門校で毎年、全国に進出して

 

関東では敵なしと言われている。

 

 

この学校は幼稚等から大学部までエスカレーター式に成っている。

 

エスカレーター式と言う事もあって外部入学者が極端に少ない事も

 

よく知られている。

 

 

金持ちの寄付で成り立っている学校で生徒の親もそれなりの仕事をしている。

 

その中でも家のランクでクラス別けされ、

 

更に生徒は親の家業でグループに別れて行動している。

 

 

 

 

 

内部入学が多い中、忍足と宍戸は外部入学だった。

 

 

 

 

「お前、外部入学か?」

 

 

 

髪の毛が肩に付く位に伸びた男子が忍足に話しかけた。

 

周りは何本もの桜の木で埋め尽くされて、

 

まるで雪が降り積もっている様にも見える。

 

 

 

「そうやで、大阪から転校してきたんや。」

 

 

 

「金持ち学校って何か胡散臭いな・・・。」

 

 

 

「無駄に経費つかっとる所為とちゃうの?」

 

 

 

「テニス部が目的でここに入ったんだ、文句は言えねぇ。」

 

 

 

「そうなんか・・・。」

 

 

 

 

今年のテニス部入部希望者の中で忍足と宍戸だけが外部入学者だった。

 

 

 

 

「俺ら浮いとるな、宍戸。」

 

 

 

 

幼稚等からの上がり組には外部者は異端に写るのだろう。

 

産まれた時からこの学校に入れられると決まっていた

 

お坊ちゃまお嬢様だらけで外の世界に慣れていないのだろう。

 

家に決められたグループで行動している彼等は外部者に拒否感を持っていた。

 

 

 

 

「浮いてるなんてもんじゃねぇーよ。

 

しかし本当に良い物ばっかり使ってるんだな、この学校は。」

 

 

 

「成金学校やからな。

 

特にあそこで素振りしているセンター別けの奴。

 

アイツの家は跡部財閥いってな、相当な金持ちやで。

 

学校に毎年多額の寄付金出してるらしいしな。

 

関西に住んでた俺すら知っとるんやから相当なもんやで。」

 

 

 

 

長い髪が風に揺れる、壁に寄りかかっていても風は2人の間を通り抜けた。

 

 

 

 

「おい、初日からサボりか?」

 

 

 

2人の顔に誰かの影が掛かった。

 

 

 

 

「ふん、入部早々サボりとは良い身分だな。」

 

 

 

 

さっきまで話題にしていた跡部景吾が目の前で不機嫌な顔をしている。

 

相当練習していたのか汗がジャージから滴り落ちた。

 

 

 

 

「此処は金とか家のランクとかは関係ない、実力主義だ。

 

お前たちもその事を知ってこの学校に来たんだろう?」

 

 

 

 

「あぁ、そうやで。

 

知って来たんやで・・・・。」

 

 

 

 

忍足がそう流すと跡部は練習に戻ってしまった。

 

 

 

 

「レギャラーは1年から跡部、2年からは・・・。」

 

 

 

 

榊監督の声がコート上に響き渡る。

 

1年でレギュラーを得た跡部は何処か冷めた目をしていた。

 

 

 

 

「宍戸に忍足、後で部室に残れ。話がある。」

 

 

 

 

 その日の放課後、忍足と宍戸は部室に残った。

 

 

 

 

「忍足、お前は大阪の学校で部長をしていたらしいな。

 

関西でもお前の名前は有名だったぞ。

 

跡部と互角に戦える才能があるのに何故今日の

 

ランキング戦でその実力を見せなかった。」

 

 

 

 

「そんなの、決まってるじゃないですか。

 

俺は新人でしかも1年でしかも外部入学者で・・・。

 

どう見ても俺がレギュラー取って良い訳ないでしょう。」

 

 

 

 

「宍戸はどう思う?

 

お前もそれなりの実力があったが・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「忍足、向日ペア、すげ〜ぞ!

 

もうダブルス1だぜ。」

 

 

 

 

すごく充実した生活を送っていた。

 

 

 

 

 

 

「跡部・・・・。

 

何で岳人・・・死んでるんや?」

 

 

 

 

わなわなと怒りが込みあがって来る忍足とは対象に跡部は平然と答える。

 

 

 

 

「弱いからだろうな、人は生き物だ。

 

弱ければ死ぬ運命なんだよ。」

 

 

 

 

「跡部・・・てめぇ・・・・。」

 

 

 

 

宍戸の手は力強く握り締められていた。

 

 

 

 

「光在れば闇がある。

 

先輩達は俺を光と言った、そうだ、俺は光だ。

 

誰かの上に立つに相応しい男だ。」

 

 

 

 

破滅は直ぐそこにある。

 

それはな、跡部お前のその自信だ。

 

破滅ってのはな、跡部・・・

 

 

 

 

「跡部、確かにお前は光で俺は闇や・・・・。

 

いつもコンプレックス丸出しでお前も見てたわ・・・。

 

でもお前を破滅させるくらい、俺にだって出来るんやで・・・。」

 

 

 

 

「なっ・・・。」

 

 

 

 

「光は絶対的な存在やから全て見透かされてしまってるんや。

 

でも闇はその正体を露にした事がないから誰にもやられへん・・・・。