もしも願いが叶うなら

 

 

 

「ねぇ、このプログラムっていつになったら終わるの?

 

早く家に帰りたいんだけど」

 

 

越前リョーマはそう言うと、何もない部屋の監視カメラを見つめた。

 

部屋の中心にある小さなイスに座っているだけで、

 

他にやることもなかった。

 

 

『もう少しですよ、明日の質問に答えたら、晴れて外の世界です』

 

 

スピーカーから聞こえてくる声に、リョーマは適当に頷いた。

 

機械的な声の為、人と会話している気分にはならなかった。

 

 

『あなたの精神力の強さは、他の誰よりも素晴らしかった。

 

こんな部屋に閉じ込められていても、発狂しないあなたがね』

 

 

「そう、早く帰りたいよ・・・。本当に」

 

 

次の日、リョーマは質問に答えていた。

 

 

『一番初めに、誰を殺しましたか?』

 

 

「手塚部長。出発してすぐに声掛けられて、一緒に行動してたから、

 

殺し合いが始まってすぐに殺した。

 

その後、手塚先輩の武器奪った」

 

 

『何故、殺したのですか?』

 

 

「死にたくなかったし、殺してみたかったから・・・」

 

 

『次に、誰を殺しましたか?』

 

 

質問に淡々と答えていると、最後の質問が聞かれた。

 

 

『もしも願いが叶うなら、何を願いますか?』

 

 

「・・・世界平和・・・かな。戦争がなくなれば、悲しいことも減るし。

 

傷付く人も減る・・・。だから、戦争がなくなりますようにって願う」

 

 

『世界が平和であれば、このBRもなくなりますね・・・』

 

 

スピーカーの声の人らしい声に、リョーマは反応した。

 

 

「・・・なくなるね」

 

 

リョーマは声を殺していった。

 

 

『この世の全てが平和になったら、俺はどこかに物足りなさを感じる。

 

何か問題がないと、人は退屈で死んでしまうのかもしれない。

 

だから、戦争はなくならないんだ・・・』

 

 

「ねぇ、俺は帰ったらどうしたらいいとおもう?」

 

 

『経験したことを生かして生きていってください。

 

私たちがしていることは青少年の正しい育成のためのプログラムなのですから・・・』

 

 

リョーマは荷物を纏めた。

 

それは最小限の合宿に向かった時の荷物だった。

 

 

「お世話になりました。ほんとうに・・・」