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正気と狂気の狭間
最高、こんな気分に僕は成っている。
最低、そんな気分に僕は成っている。
それも全てこんな状況の所為だ。
目の前には死体の山、しかも見覚えのある顔ばかり。
みんな僕が殺した、殺して、殺して、殺しまくった。
でもそれは正しいことだって決まっている。
政府に逆らうなんて、ナンセンスなんだから。
「嫌だ、死にたくない、死にたくない。」
命乞いをしたのは誰だっけ?
必死で僕に命乞いしてたね、君誰だっけ?
思い浮かぶのは君の長い髪だけ、君誰だっけ?
「死にたくない、死にたくない・・・・。」
俯いていたら誰だか分からないじゃないか、
こっちに顔を向けてよ、君が誰だか分からないじゃないか。
どんなに命乞いをしても死ぬ運命なんだから
逆らっちゃダメだよ。
神様が決めたんだからね。
「嫌・・・・・。」
そんなに怯えていても僕の刃は止められない。
君の命なんて僕の命の3分の1も満たないんだから。
僕のために死ねる、僕の殺す最後の人間なんだから
埃を持ってもらってもいいんだけど。
「嫌だ、俺は死にたくなんてない。」
何処かで見たことのある顔だった。
自分にそっくりな彼には。
木更津敦、それが目の前にいる人間の正体だった。
「敦・・・。」
「亮は僕を殺せるの?
正気なの、正気なの・・・・。」
僕は正気だ、正気なんだ。
政府の言うとおりに殺し合いをしただけなんだ。
死にたくなんてなかったし、痛い思いも嫌だった。
好きな人を失うこともテニスができなくなることも嫌だった。
なのに僕は好きな人たちを自分の手で殺めてしまった。
「亮は正気なの?
僕は正気だよ、僕は最後まで僕のままでいたいから。」
狂気で僕は狂っていたようだ。
死にたくないのにね、なのに彼を守りたかった。
でも狂気を帯びた僕は無力で彼を殺めてしまう。
狭間なんて無い、狭間なんて無い、あるのは正気と狂気だけ。
僕は狂気で満ち溢れている。
「亮?」
僕は正気に戻ったことにも気付かずに彼を殺めてしまった。
でも、それでも僕はここから抜け出さなければならなかった。
人を殺めてしまった事には変わりはなかったのだから。
狂気に満ちるモノは優勝を果たした。
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