ドロップアウト Drop out

 

 

 

 

 

 

 214日、バレンタインデー。

 

この日は聖バレンタインが恋人達のために亡くなった日。

 

 

 

 

その日、僕はこの世に生を受けた。

 

僕には姉が一人いるので両親や祖父祖母は僕が男の子だという事を

 

大変喜んだそうです。

 

 

 

 

 自分で言うのもなんですが、育ちは結構良い方です。

 

幼い頃からバイオリンとピアノを習っていました。

 

姉の真似をして習いたいと僕がダダを捏ねたそうです。

 

父は僕にテニスを習わしたかったそうで、全て週1回づつ習っていました。

 

でも、僕はテニスの素質があまりないらしく先生によく怒られました。

 

今でも先輩たちに注意されるノーコンはこの頃からです。

 

 

 

 

将来は父と同じ弁護士になるつもりです、ピアノもバイオリンもテニスも

 

好きだけれど、普通の生活を何処かで望んでいます。

 

でも尊敬する父と同じ道に進むことを誇りに思っています。

 

 

 

 

 

 こんな手紙、誰が読むのだろうとふっと思っています。

 

もう逢う事も出来ない両親や姉、祖父祖母への届かない手紙。

 

政府は死体を親元に返す時に着ていた制服や遺留品を返さないそうです。

 

機密事項が多すぎるからでしょうか、それとも何か他に訳があるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 僕のしているクロスもきっと政府の者が処分するのでしょう。

 

 

 

 

 母さん、最後に言った言葉がいってきますなんて悲しいですね。

 

大好きですって言いたかった。

 

父さん、昨日は遅かったので逢えませんでしたね。

 

すごく残念です、今度の休みにテニスする約束守れませんでした。

 

ごめんなさい。

 

さん、僕が帰っている頃にはきっとウェディングドレスを着ている

 

はずだった頃でしょう。

 

姉さんのドレス姿見たかったな・・・。

 

 

 

 

 

正しい事を教えてくれた、貴方達に感謝しています。

 

 

愛しています。             鳳 長太郎

 

 

 

 

 

 

 

紙を四つに折りたたみポケットにしまった鳳は銃を眉間に近づけた。

 

此処でも僕は正しいままでありたいんです。

 

殺し合ってもただ皆が傷つくだけだから。