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ss.22 王
「本当の王様は誰?」
「そんなの、俺に決まってるだろ?」
幼い頃、俺は自分を一番偉い人間だと思っていた。
幼稚園児の発想と思えば、可愛いものだが、俺はその思いを
14歳まで、引きずって来てしまった。
その頃、俺の通っていた幼稚園で流行っていた遊びは
“王様ごっこ”といって、ままごとの延長線のようなものだった。
家族全員が王様に使える者になり、
自分がいかに素晴らしい仕事をしているか王様に見せるのだ。
父、母、息子娘は別々に褒美を貰う。
ままごとに参加できなかった俺が、もらった役は、
わがままな村の王様だった。
「王様、ボクの持ってきた貢ぎ物は、世界一の黄金で出来たコップです。
これで紅茶を飲めば、王の偉大さを前面に出せるでしょう」
「ほう、それがお前の貢ぎ物か。
確かに、黄金でできている」
油粘土で作られたコップを手に取ると、
そのまま下に落とした。
「でもな、これは俺の望んだ物ではない。
褒美はやるが、俺が使うことはない・・・・・・」
いつも砂場の上のあるジャングルジムで、俺は
下でままごとをする奴らを見下していた。
褒美を貰えなかった母親役の少女は、怒っているのか
その後、一回も王様役の俺に近付いてこなかった。
「王様は無知ですから」
「王様は、村人の望みを叶える道具です」
俺は遊びの半分以上を参加できなかったため、兵士役を作った。
兵士はもちろん、俺を嫌っていた。
それでも、自分の出番を増やす事には成功した。
「王様、村人が王様の言動を怒っておられますよ?」
「じゃあ、そいつを殺してしまえ」
ままごとの中で、俺は合計12人を殺した。
一家全員を殺したこともあった。
ジャングルジムから見える範囲にいる村人の前で
公開処刑と称し、縄跳びで身体をぐるぐる巻きにしたこともあった。
「王様、王様。
王様、村人が革命運動をしています。
王の命も・・・・・・・」
「王の命を後わずか、か」
俺は村人に銃を突きつけられていた。
「王様の声に逆らった物は処刑される運命にある。
それを守れなかったのが、お前だ」
俺はBRが始まってから、あるグループに属していた。
真田、幸村のいる、立海が大半をしめるグループだった。
その中での俺の地位は、低かったが、強いグループにいれば
命は安全だったが、俺のプライドは酷く傷付いていた。
「そうだな、真田」
「跡部、お前は処刑だ」
俺の命は残りわずかだったが、真田が昔の自分と重なり、
“王様ごっこ”を思い出していた。
「王様、王様。
王様はもうすぐ、国を追放されます。
国民が王様の傲慢さに怒りを覚えています」
そう口にすると真田は、俺の髪を掴み、顔を覗き込んできた。
「頭でもおかしくなったか?」
「お前もいずれ、俺と同じ運命を辿るんだよ・・・・・・。
それが、傲慢な王様の運命なんだからな」
“王様ごっこ”は最後、俺が処刑されて終わった。
普通のままごとに戻り、参加していた男子は、砂遊びへと戻った。
「王様、王様がいなければ国民は平和ですよ」
「あぁ、馬鹿な国民がいなければな、国は続く」
銃声の後で、俺は意識を失った。 |