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洞窟にて IN CAVE
手塚は少し前に竜崎桜乃を見つけた。
2人はまだ他の人に出会っていなかった。
「おい、竜崎。」
「・・・手塚先輩・・・。」
「・・・1人か?」
木に囲まれた場所では人を見つけるだけでも一苦労だ。
「向こうに洞窟があった、
あそこなら人が来ないだろう。」
手塚の冷静な判断は間違ってはいなかったが
それが作戦に大きく変化をもたらす事に手塚は気付いていなかった。
「ずいぶんと奥まで続いているんだな。」
手塚の声が木魂して聞え、そして水の滴る音が桜乃の恐怖心を煽った。
「手塚先輩・・・。
あれって何ですか・・・・・・。」
桜乃の指差した先には白い粉が散乱していた。
手塚はその謎の粉に近付きしゃがみこんだ。
「これは、何かの骨か?」
「えっ何で・・・・。」
桜乃の怯える声に手塚は桜乃の方に振り向いた。
「大丈夫だ、政府の回収し忘れた死体の残骸だろう。
いくら遺体は回収していても細かい所までは拾いきれなかったんだろうな。」
手塚の冷静な判断に桜乃は安心した。
『よかった、先輩がいてくれて。
私1人だったらとっくに逃げ出してる・・・・。』
「誰か、いるのか?」
洞窟の奥で突然、振えた様な蚊細い声が聞えてきた。
「誰かいるんでしょ?」
手塚は桜乃の手を引いて奥に進み始めた。
「嫌、嫌です・・・。
そんな怖いところ・・・・・。」
桜乃の声を無視して手塚は進み続けた。
洞窟の行き止まりには痩せ細った少年と見られる容姿の人間が壁に
凭れ掛かっていた。
「やっぱり・・・人間だ・・・。」
この少年の目は虚ろで、そして狂気を帯びていた。
「お前は誰だ?」
手塚は臆する事もなく少年に話しかけた。
「俺は2年前に行われたバトルロワイヤルの参加者だ。」
以外にもはっきりした口調で話し始める少年に手塚は見入っていた。
『2年もの間、彼は此処に居続けていたと言うのか?
しかし何故、彼は逃げ出さないんだ。』
「俺は戦っていない、人も殺していない・・・。
優勝者の男も俺を知らない、だって俺は此処にずっといたからだ。
何もない生活、誰も居ない生活、恐怖を感じながら過ごす生活。
俺は政府に見つかったら殺される運命だろう。」
少年はぽつりぽつりと話始めた。
「あの時、俺は真っ先に此処に逃げ込んだ。
人を殺すなんて俺には出来なかったからだ・・・・。
でも殺されたくない、そんなの当たり前だろう?」
手塚の握っている懐中電灯が壁に張り付く蛾を照らした。
「2年間か、お前たちが殺しあう音が聞えた。
人の作り出す音は2年ぶりだな。
お前たちは人を殺したのか?
それとも俺と同じ様に逃げ込んだのか?」
「俺達は戦っている、逃げる事などしない。
政府に向かっていく、それしか出来ないからな。」
「俺とは違うんだな、俺は弱い。
だから死ぬ事も生きる事も放棄したんだ。
今の俺は生きていない、死んでもいない・・・・。」
その時、手塚の懐中電灯が消えた。
「ほら、行きなよ。
後ろの娘、倒れちゃってるよ・・・・。」
手塚の後ろで膝から崩れ落ちた体制のまま気を失っている桜乃の姿があった。
「・・・俺達は負けない、臆する事もない。
もしも俺達が政府に勝ったら、おまえは此処から抜け出すのか?」
「俺は此処にいる、だってもう・・・・・。」
手塚は桜乃を抱き上げて洞窟の出口に向かった。
「健闘を祈るよ、名前も知らない子達・・・。」
外は朝焼けが眩しかった。
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