反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

BATTLE.66 この世の全てが幻だとしても  

 

 

 

僕がこの世に産まれてきた時、母さんは僕と同じ顔の

 

子供の誕生を心待ちにしていた。

 

その子が、僕の人生を狂わせる悪魔とも知らずに。

 

僕に名前を付けた時、その名前はその子の為に考えていた物だったのだろう。

 

決して望まれて産まれてきてはいけない子供は

 

その子の為に産まれてきた瞬間、その地位を奪い取った。

 

 

 

 

「お兄ちゃん・・・」

 

 

 

 

その声で、僕はここが現実の世界ではないのだと気が付いてしまった。

 

裕太がクローンで、本物ではないことはすぐに分かった。

 

5歳の子供だったけれど、僕は捨てられたのだと分かった。

 

 

 

 

「・・・ここが幻だとしても・・・」

 

 

 

僕はこの世界で育った。

 

外の世界と同じ顔をした母さんや姉さん。

 

でも、それは実際にはいない幻だったから。

 

 

 

ある日、外の世界から、誰かが僕を呼んだ。

 

ここが幻の世界だと知った時の声と同じだった。

 

 

 

 

「・・・兄貴・・・」

 

 

 

 

ここから帰りたい・・・。

 

そう呟くと、君は僕を手招いていた。

 

そう、やっと帰れるんだ・・・。

 

 

 

窮屈な箱庭から、逃れて僕は最低な人間に落ちた。

 

その箱庭には、色んな人の希望が詰っていた。

 

 

 

 

外の世界の僕はそれを叶えようとしていたのだろう。

 

でも僕はそれを止めようとした。

 

元の世界に戻ることは牢獄に入ることよりも苦痛なのだから。

 

誰かが決めた幸せなんて、僕にはただの苦痛でしかなかった。

 

 

 

 

だから、殺してしまった・・・。

 

でも、僕をその後に殺した男は僕自身だった。

 

 

 

 

どうして、僕は・・・君が憎いのだろう・・・。

 

 

 

 

目を開けると、視界は歪んでいた。

 

僕は液体の中にいるのだろう。

 

手を動かすとコードに繋がれていた。

 

そう、これこそがこの世界の正体なんだ。

 

夢を見ていられる機械、それを求めて博士は僕らを犠牲にしたんだ。

 

 

 

 

傷を負った僕は、ここから外を眺めることしかできないけど・・・。

 

やっと現実の世界に戻ってきたよ・・・。

 

 

 

 

外には、彼がいる。

 

いつも僕よりも優れている同じ顔の男。

 

その男が何よりも憎い。

 

 

 

 

手を伸ばせば届くのに・・・。

 

ここで見ていることしかできないのだから。