反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

BATTLE.63 天使の正体

PRAY BOY

 

 

 

 

「確かに、助けてほしいと願った。

 

俺が間違っていたのか・・・」

 

 

 

跡部景吾は静まり返った自分の部屋の隅にいた。

 

部屋には、自分の通っていた学校のパンフレットが置かれていた。

 

 

 

「・・・俺はドイツに戻るはずだった。

 

こんな場所、俺の世界じゃねぇ・・・」

 

 

 

「俺はお前に助けてほしかったんだ。

 

こんな世界が俺は嫌いだ。

 

全て自分のエゴの為にある世界がな・・・」

 

 

 

後ろから話し掛けてきた男に背を向けたまま、跡部は声を殺して呟く。

 

 

 

「俺・・・なんで生まれてきたんだ」

 

 

 

「・・・それは俺も同じことだ」

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

「・・・不二くん。

 

実験は中止するべきだったんです。

 

クローンなんて作ってはならなかった。

 

それも実験の為になんて・・・」

 

 

 

「僕の様な被害者が出た。

 

でもこの被害者を救えるのは、これしかなかったんだ」

 

 

 

「・・・あなたが被害者?」

 

 

 

不二は自分の左手首を見せた。

 

 

 

「これがエラー、そしてこの症状を救う事ができるのは・・・」

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

跡部は自分の手首に触れた。

 

なんの跡もない綺麗な手首だ。

 

 

 

 

「俺たちは、生きることをなんだと思っていたのだろうな」

 

 

 

「強制的に生かされているだけだ・・・」

 

 

 

 

後ろから話し掛けてきた男の腕を見ると、その男の手首には跡があった。

 

 

 

 

「・・・火傷・・・か?」

 

 

 

「あぁ、これはただの火傷だ。

 

火傷を負ったわけではないんだがな。

 

いつの間にかできていた。

 

バーチャルリアリティー、思い込みがそうさせたのかもしれない。

 

お前たちがいた世界は、軍人の訓練にも応用される予定らしい。

 

あれを使えば、負傷せずとも訓練ができるからな」

 

 

 

 

「・・・手塚の火傷も・・・・・・」

 

 

 

 

「それが原因かもしれないな」

 

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

「あなた・・・どこでそれを?」

 

 

 

「これは僕の傷、薬品で怪我をしたんだ。

 

これで、僕と僕の区別はつく・・・」

 

 

 

 

観月は何も言えなかった。

 

 

 

 

「帰ってもいいですか・・・。

 

あなたが正常でないことは理解できましたから・・・」

 

 

 

 

「まってよ・・・」

 

 

 

 

不二が声を掛けると、観月は立ち止まった。

 

 

 

 

「僕は、君たちを救える救世主じゃないんだ。

 

ただの人間・・・。君たちは僕に何を期待していたんだ・・・?」