反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

BATTLE.57 地平線の先 Horizon.

 

 

 

「僕は全てを捨てて、キミ達を外に出した・・・。

 

危険な賭けってことを承知でね・・・恨んでいるかい?」

 

 

 

「まさか、恨みませんよ・・・。

 

事実を知って、それでも私は何も変わらなかった・・・。

 

ただ、あの世界で笑っていることに疲れただけです・・・」

 

 

 

青学近くの公園のブランコに腰を掛けた、不二周助と柳生比呂士は

 

ぽつぽつと話を始めた。

 

 

 

「この公園も偽者なんて、思えない・・・。

 

ここが私の世界なんですよ・・・。

 

クローンしてではなく、一人の人間として、そう感じているんです。

 

オリジナルの私は、たぶん・・・この世界にはいません・・・」

 

 

 

「知ってる・・・。

 

この世界は僕たちが作った世界だ・・・。

 

僕たちの意思で、少しずつ変わってきた世界だ・・・」

 

 

 

不二が小石を蹴り上げると、夕日が少し歪んだように見えた。

 

 

 

「・・・旧型の装置じゃ、これが限界なんだよ・・・。

 

記憶を操作されていない状態じゃ、この世界がいかに不自然か・・・。

 

声を出すのも、何をするのも・・・辺りが・・・すべて・・・」

 

 

 

「戦争も・・・あれもプログラムではなかったのかもしれませんね・・・。

 

この夕日が僕たちの目に映っているように、この世界が全て偽者な訳では

 

ないんですよ・・・」

 

 

 

不二の影が濃くなるにつれ、夕日は沈み始めた。

 

 

 

「小さい頃は、この世界が丸いことなんて知らなかった。

 

ずっと真っ直ぐ歩いていけば、いつか地球の端っこにいけるって・・・。

 

僕の小さい頃の初めての記憶は、この世界に連れてこられた時の記憶なんだ。

 

だから、隅っこに行けば、外に出れると思っていたんだ・・・」

 

 

 

「地球が丸いことなんて、常識でしたからね・・・。

 

だけど、この世界は違う・・・。

 

外の世界へと抜けられる道が存在しているんですから」

 

 

 

「・・・そこから、柳生も帰ってきたんだ・・・。

 

また、僕がこの世界から抜け出ることも可能なはず・・・だよね?」

 

 

 

「可能性は0じゃありません・・・。

 

ただ、外の世界がどんなに残酷か・・・。そして、僕たちは母国である

 

この地球ではなく、あんなものに入れられるんですよ・・・」

 

 

 

不二はここから、抜け出すことなんて考えていなかった。

 

ただ、時間がゆっくり過ぎるのを待っていた。

 

 

 

「ここは不安定ですから、一時的に私たちを非難させたのでしょう・・・。

 

あの夕日が歪んで見えるのは、ここが私たちの目で見ても限界が近いんですよ」

 

 

 

「・・・でも、僕はここに戻された・・・」

 

 

 

「最低でも、不二くんは・・・身体を治さないと外には・・・」

 

 

 

「分かってるよ・・・。

 

だから、ここで手を拱いてるんじゃないか・・・」

 

 

 

不二の顔は、いつもよりも冷静にみえた。

 

そして、この世の終わりが、戦いの始まりであることをどこかで

 

感付いていたのだろう。