反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

 

BATTLE.56 己自身の行方

WANTED.

 

 

 

「柳生比呂士・・・。ダブルスのパートナーである仁王雅治と

 

ストリートテニス中に消失した珍しいケースです。

 

もちろん、オリジナル、クローン共に・・・。

 

オリジナルは家で、家族と団欒中に突然消えたと報告がきています」

 

 

 

 

「・・・まずいな・・・。あの地球の中に入っていない行方不明者がいるなんて・・・」

 

 

 

 

「ですが、探しようがありませんよ・・・」

 

 

 

「消失はなくって、行方不明・・・ってことかな・・・。

 

いきなり消息を絶って逃げた・・・ってこととかさ・・・」

 

 

 

 

不二周助はイラだっていた。

 

全てのクローンを元の世界と同じ環境に移すべく、連れ出したはいいが、

 

新しい地球の中にいないものがいた。

 

柳生比呂士は、テニスのプレイ中に消息をたったため、消失と判断されたが、

 

自動的に送られるはずの、身体が行方不明なのだ。

 

 

 

 

「柳生が行方不明になるとは、僕も予想外だったから・・・。

 

まさか・・・あの中へ飛ばされたなんて・・・ありえない・・・よね?」

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

「兄貴・・・」

 

 

 

時間が凄く早く過ぎて行く。

 

僕が中学2年になり、裕太が青学に入学した。

 

これが脳内に直接送られてくる信号だと分かっていても、

 

自分の記憶のように感じる・・・。

 

 

 

「裕太、青学のテニス部には入学するべきだよ?

 

また、全国大会には行けないかもしれないけどさ・・・」

 

 

 

「・・・また?」

 

 

 

「こっちの話だよ・・・。

 

プログラムを変えられた僕たちの定めさ・・・。

 

どんな綺麗事を言ったって、僕たちは只の実験体なんだから・・・」

 

 

 

 

僕は中学2年になった。

 

元の記憶を消せないまま、また兵役前へと逆戻りした。

 

誰かが、僕たちを消そうと、外の世界とは違う記憶をインプットした。

 

それが、あの不二周助ではないことは僕にも分かる・・・。

 

だけど・・・。

 

 

 

「兄貴・・・テニス部に行ってないみたいじゃん・・・」

 

 

 

「あぁ・・・ちょっと他に気になることがあってね・・・。

 

少し休部させてもらってるんだ・・・」

 

 

 

この裕太はクローンですらない。

 

僕の頭に直接植えられた映像でしかない。

 

だったら、運命の輪を断ち切るのに、キミの運命を狂わせてもらう・・・。

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

不二周助は自分の汗のかいた顔に触れてみた。

 

自分でも驚くほど、焦っていた。

 

 

 

「不二くん?」

 

 

 

研究所の中には、元の研究所のプロジェクトクルーが数人集まっていた。

 

柳生比呂士の消失は、不二や元の博士の資料にも前例が載っていなかった。

 

 

 

「大丈夫です・・・。

 

必ず、解決してみせますから・・・」

 

 

 

不二は負傷した自分の身体の入った擬似地球を見つめた。

 

元々、クローンが収監されていた物だったが、不二はあることに

 

気がついた。

 

 

 

「・・・すみません、あの地球は・・・僕が設計した地球のように、

 

自動的に、人体、及び精神がもどる可能性はありますか?」

 

 

 

「ほどんどないはずです・・・。

 

それにあの擬似地球は、不二周助以外の生命反応はありません」

 

 

 

「・・・そう・・・か」

 

 

 

不二は俯くと、身体の力を抜いた。

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

「自動的に収監されたんじゃなくって、自ら戻ってきたら・・・誰にも気付かれない。

 

それは、あの不二周助だって分からなかったことだ・・・。

 

ねぇ、柳生・・・」

 

 

 

「・・・そうですね」

 

 

 

「それが正しい道なのかな・・・?」

 

 

 

「・・・これが正しい答えなんです・・・」