反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

BATTLE.54 特別な人 Special My Sister.

 

 

 

「竜崎さん・・・」

 

 

 

「貴方は私のクローンを外に出してくれた、

 

外の世界に住んでいる不二さん・・・なんですよね?」

 

 

 

「そうだよ・・・。前に殺された不二周助・・・」

 

 

 

「じゃあ私は誰なんですか?」

 

 

 

 

研究室には2人しか人影はなかった。

 

唯一、片割れだけが消滅してしまった竜崎桜乃は実験の対象から外れていた。

 

 

 

 

「・・・竜崎桜乃、オリジナルの竜崎桜乃・・・お互いに違う道を選んだから、

 

キミは一人に戻った・・・。そう言うのも悪くないと思わない?

 

こんな残酷な世界なんだからさ・・・。

 

竜崎さんと竜崎さんはお互いに・・・」

 

 

 

「特別な人だった・・・。

 

私を強くしてくれた人・・・。誰よりも私を理解してくれた人・・・。

 

・・・そして・・・幸せだった時間をくれた人・・・」

 

 

 

竜崎桜乃の目には涙が浮かんでいた。

 

 

 

「・・・君はこの実験とは無関係になるね・・・」

 

 

 

「でも・・・私は忘れないです。

 

皆がこの世界に着た時のこと、この世界で幸せだったこと」

 

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

 

「怖い・・・私・・・消えるの?

 

それとも・・・死ぬの?」

 

 

 

 

小坂田朋香は布団の中で蹲っていた。

 

携帯電話も何日間も電源を落とし、誰とも話していない状態だ。

 

そんな中、朋香は無意識に携帯の電源を入れた。

 

携帯には不在着信が、34件入っていた。

 

その殆どが親友の竜崎桜乃からのものだった。

 

 

 

 

「・・・桜乃・・・」

 

 

 

 

リダイヤルボタンを押しながら、朋香は声を出した。

 

震える手で携帯を落とさない様にすると、電話が通じるのを待った。

 

 

 

 

「朋ちゃん?」

 

 

 

「もしもし、桜乃・・・」

 

 

 

「・・・元気にしてた?

 

私、不二さんに会ってきたよ・・・」

 

 

 

 

「・・・アンタは私の知ってる桜乃じゃないんでしょ・・・。

 

だって・・・」

 

 

 

ぶつぶつと小声で喋ると、桜乃は朋香予想もしない言葉を発した。

 

 

 

「朋ちゃんはオリジナルだから・・・本当は私たちと暮らすはずだったの・・・。

 

それを手違いがあって・・・。

 

今、外にいる不二さん・・・と朋ちゃんだけは、あの中に入れられたの・・・」

 

 

 

 

「・・・やっぱり・・・。

 

私・・・記憶があるもの・・・」

 

 

 

 

「朋ちゃん、副作用は不二さんが治療してくれるって・・・。

 

あれは中にいた時の所為で・・・でてくるものなんだって・・・」

 

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

 

跡部景吾は部屋の隅から、窓の外を仰いだ。

 

 

 

「外は・・・これはリアルな世界なんだろうか・・・」

 

 

 

「リアルに決まってるだろ・・・」

 

 

 

自分の顔をした男を見るたびに、これが現実でなければと思った。

 

この世界に来てから、酷く自分が惨めになった気分だった。

 

 

 

「・・・そうか・・・リアルなのか・・・。

 

今まで見てきた空はここの空よりも遥かにリアルだったのに・・・」

 

 

 

跡部は声を枯らし、瞳を閉じた。