反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

BATTLE.53 夢のまた夢・・・

 NO CHANGE MY LIFE.

 

「実験再開だね、僕の遺伝子と君の遺伝子、

 

そして君の記憶があれば、完璧な擬似の世界を作ることができる。

 

今度こそ、僕は失敗しない・・・君みたいな犠牲者を出さない。

 

博士の理論は完璧だったし、あの世界で助かる命があるんだ・・・」

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

「菊丸・・・柳・・・ここは?」

 

 

「手塚・・・。なんでここにいる?」

 

 

 

柳連二は叩いていたガラスから手を退かした。

 

 

 

「お前も来てしまったのか、手塚・・・。

 

ここは何日も日がたたない・・・牢獄みたいなところだ」

 

 

 

「・・・何を言っている?」

 

 

 

「お前も時期に分かるだろう・・・。

 

ここは時間が経たない、そして腹も空かない・・・。

 

全てが止まっている状態なんだ・・・。

 

そして俺たちの向こうに見えるのが、俺たちのオリジナル・・・」

 

 

 

手塚国光は息を飲んだ。

 

見渡すと辺りは厚いガラスで覆われているからだ。

 

見た事のない近未来風な建物の中で、菊丸英二と柳連二が力なく

 

ガラスを叩いていたのか、血がこびり付いている。

 

 

 

「・・・手塚・・・。

 

俺たち、死ねもしないのかな・・・。

 

一生この中で退屈な時間をすごすのかな・・・永遠に・・・」

 

 

 

自暴自棄に陥っている菊丸をよそ目に、柳はまたガラスを叩き始めた。

 

 

 

「俺は諦めない。

 

向こうにいる俺たちと接触できれば、なんらかの方法でここから出られるはずだ」

 

 

 

手塚は意味が理解できなかったが、柳の真剣な眼差しに動きが取れなかった。

 

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

「・・・死ぬことはないけど、何もさせず、外の記憶も入れないのは

 

退屈かもしれないね・・・。

 

でもまだ全員が中にいるわけじゃないから・・・何もできない。

 

不二周助は瀕死の重傷を負ったわけだから、特別に昔の記憶を流してるけど、

 

・・・彼はまた帰還を望むかもしれない」

 

 

 

不二周助は自分の書いた企画書を、別の研究所にいる研究員に送信した。

 

博士亡き後、不二の仕事は、この企画を完璧な物にする事だった。

 

医療器具としての、擬似地球を完成させることが、全ての始まりだった。

 

 

 

『君は偶然の産物・・・この計画に君が必要不可欠なことは明白だ。

 

全てを話す・・・。だから、この計画を速やかに進めてくれ・・・』

 

 

 

「・・・博士を殺したのは、僕の中のほんの少しの彼らに対する

 

罪悪感だったのかも知れない・・・

 

僕は、彼らを残酷にも外の世界を教えてまた、実験の為に元に戻そうとしてる。

 

これがどんなに残酷か・・・。

 

僕はあまりにも無知だったのかもしれない・・・」

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

「・・・裕太・・・。

 

もしもこの世界の出来事が全て嘘だとしたら、どうする?」

 

 

 

「おにいちゃん?」

 

 

 

「いや、今読んでる小説がそういう内容なんだ・・・。

 

感想がてらに答えてよ・・・」

 

 

 

「そうだな、真実が知りたいかも。

 

やっぱり本当の世界で生きたいって思うよ」

 

 

 

「その世界があまりにも残酷でも?」

 

 

 

「うん、どんな世界でも、僕は真実の世界で生きたい。

 

だって偽物の世界は幸せでも、それは嘘だし・・・。

 

本当の世界の自分の生活は、辛くても変えられない。

 

だから、幸せになろうと努力するから、楽しいんだよ・・・」

 

 

 

「ありがとう、裕太・・・」

 

 

 

不二周助は自分の目の前の本を開き、メモをした。

 

 

 

【この世界が変えられないなら、僕はもう真実を見ない】

 

 

【だけど、僕は外の世界を知って、皆を助けたいと思った】

 

 

【でも、僕は何も変えられなかった・・・】

 

 

【歯車は止まらない・・・】