![]()
反逆の遺伝子
~The Prince of Tennis in Battle Royale~
BATTLE.50 第二研究 REAL Complex.
|
「柳・・・もう止めようよ。
いくらガラスを割ったところで外には出られないよ。
もう何日もこのままだ」
何日間ももう一人の自分のところへ向かおうとも、放れていくばかりだった。
二人は何十枚のガラスを割ったかも分からなくなっていた。
「菊丸、諦めたらいつまでもここにいる事になる・・・。
それは避けるべきだ。
このままでは餓死しかねないからな」
「でも何日もお腹なんて空かないし、トイレにも行きたくならないじゃないか?
何かがおかしいよ・・・」
塞ぎこんだ菊丸英ニを横目に、柳蓮ニは血だらけの手を見つめる。
「俺たちのいた場所が、擬似の世界なら、今の世界も擬似の物なんじゃないか。
それなら、あの時のように出られるはずだ・・・」
「でも、ここにはもう一人の自分もいる・・・」
「菊丸はあの世界と現実の世界と今、どれが幸せだった?」
「外の、本当の世界かな・・・」
「・・・俺もだ・・・。
外の世界はあの世界と何も変わらなかった。
母さんがいて、父さんがいて・・・全て・・・変わらなかった」
★★★
「不二周助は死亡した直後、親友である手塚国光にメールを送っています」
「・・・死亡直後・・・。
それでは、オリジナルの方が・・・」
「いえ、正しくは死亡していないんですよ、彼は」
薄暗い研究質の一室に、見慣れない男女が白衣を着て座っている。
「手塚国光も、もう少しでロストするでしょうから、
そのメールは誰にも気付かれないでしょう。
まぁ偽物と思い込んでいるオリジナルの不二周助は、
クローンの生死には気付いていないはず・・・。
なら、彼は・・・」
「僕の遺伝子は、彼とは違うから・・・。
彼は自分の欠陥に気付いていない・・・」
不二周助は、クスっと笑いならが呟いた。
「僕の身体から摘出された、このウイルスで
あの世界は現実の世界になるはずだ・・・。
未完成な地球の中へと閉じ込めたのは悪いと思っているけど、
彼らは僕の世界じゃ生きていけないんだからさ。
犠牲は付き物だ・・・。
僕が僕に殺されたようにね・・・」
★★★
「ねぇ、柳・・・。
もしも、この世界が元々、俺たちがいた世界だとしたらどうする?」
「・・・どういう意味だ?」
「俺たちが戻ってきたのが、運命なら・・・。
俺はここで生活するのも悪くないと思うんだ・・・。
外の世界で暮らすよりも、中の世界の方が・・・幸せ・・・なのかな・・・って」
「あんな脳を騙して眠らされている状態がか?
俺は外の世界でも・・・いくら罪深くとも、外で生きて行きたい。
それが、例え・・・どんなに困難でもな・・・」
菊丸はそっと呟いた。
「俺たち・・・オリジナルなのかな・・・」
「・・・俺たちは俺たちだ・・・。
向こうに見える彼らも俺たちも1人の柳連ニと菊丸英二だ・・・。
同じ人間なんだからな・・・」
★★★
「全ては僕の計画通りに進んでいる・・・。
クローンでありながら、外の世界で生きることを認められた僕が、
正しい世界を作ってみせる・・・。
中に戻るのは・・・アイツらだ・・・」
クローンの不二周助は未完成の擬似地球にアクセスした。
「・・・英二・・・。
ごめんね・・・。キミのお友達のせいで・・・計画が狂ってるんだ・・・。
僕の造った世界じゃ、博士の世界とは程遠いけど・・・がまんしてよ・・・。
もうじき、手塚もそこに行くからさ・・・。
そう・・・ずっと本当の世界にいたオリジナルの手塚国光がね・・・」
不二は一人で、薄暗い研究室を後にした。 |