反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

Battle.48 勃発

start line

 

 

「・・・朋ちゃん」

 

 

 

11月だと言うのに、日差しが真夏の様な日。

 

そんな中を通学していた小坂田朋香はいきなり立ちくらみを起こした。

 

フェンスに寄り掛かかるとギシっという音が響いた。

 

 

 

「・・・朋ちゃん!!」

 

 

 

竜崎桜乃は大きな声で呼びかけたが、小坂田の声は返って来なかった。

 

慌てて竜崎は目前の学校へと向かった。

 

 

 

「あっ・・・待ってて。

 

すぐに先生を呼んでくるから・・・」

 

 

 

フェンスからずるずると身体が落ちると目の前に人の影が掛かった。

 

竜崎の足音が遠くになるに連れて、ぼんやりと視界が開けた。

 

 

 

「・・・不二先輩・・・。助けて・・・」

 

 

 

「発作・・・だね。

 

君はクローンなんだから、それは当たり前の症状だよ」

 

 

 

不二周助は自分の胸のポケットから、薬のビンを取り出した。

 

 

 

「君は服用していないから知らないだろうけど、

 

これはクローンだけに現れる特殊の症状を抑える為の薬だ。

 

僕が服用していた物なんだけどね」

 

 

 

段々と息が上がっていく小坂田を余所目に

 

カラカラと音を鳴らすと、不二は話しを続けた。

 

 

 

「英二たちの様に・・・なんのエラーも現れない人間もいる・・・。

 

僕はエラーを起こしていたんだ・・・それで何となく理解ができた。

 

だから僕はここにいるんだ・・・。

 

オリジナルの為に作られたんだからさ」

 

 

 

不二は溜息を付くと瓶を地面に落とした。

 

 

 

「それを飲めば生き延びられるけど、それだけ後が辛くなるよ・・・。

 

他の薬も必要になってくる。

 

僕みたいに死んでしまう事だってあるんだからさ」

 

 

 

小坂田は自分の目の前に落ちた錠剤を取る事すらできなかった。

 

手が動かなくなっていたのだ。

 

 

 

「僕は殺される前に殺す・・・。

 

君がオリジナルを殺すなら、僕は君を殺すよ・・・。

 

僕が僕を殺した時みたいに、薬のビンをすり替えて・・・ね」

 

 

 

不二の持っている薬は、元々クローンたちが連れ出される前に

 

通っていた時から渡されていた薬だった。

 

 

 

「・・・オリジナルとクローンが入れ替わっていたなんて、本人しか

 

気付かない事だからね・・・。

 

クローンにオリジナルの臓器を移植しようとするなんて、

 

僕って何を考えていたのかな?」

 

 

 

数人の足音が聞えてくると、不二はその場を立ち去った。

 

割れたビンをそのままに。

 

 

 

「朋ちゃん・・・」

 

 

「小坂田!」

 

 

 

息はしているものの、殆ど意識のなくなった小坂田を

 

観た竜崎は涙した。

 

 

 

「・・・」

 

 

 

「この薬は?」

 

 

 

手塚国光が割れたビンを拾うと、錠剤に書かれている

 

O−CwEを指でなぞった。

 

 

 

「・・・これを服用していたのか」

 

 

 

運ばれていく小坂田を横目に、手塚は落ちていた数粒の

 

錠剤をポケットにしまった。