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反逆の遺伝子
~The Prince of Tennis in Battle Royale~
BATTLE.47 還りたい
ALL BLACK
息ができなくなった。 俺はここにいるべき人間ではない。 目の前には、自分と同じ遺伝子の男の背中が見える。 その男は誰かと電話をしている。 俺をtypeー3630と呼ぶ声が聞えるが、ベッドの中で聞えないふりをする。 それは元々、俺が実験の為に造られた人間だと実感させられる。 今まで、人の上で誰よりも優れた人間だと思っていた俺のプライドが 一気に崩れ去った。 今の俺は誰かの影なのだから、ここにいる意味はない・・・。 頂点という俺の場所がないのだから・・・。 「監督・・・、貴方が協力してくれなかったら、もっと酷い事になっていたと 思います・・・。 アイツも俺も、ここで生きていくには辛すぎますけどね・・・」 『お前自身のことだ、今は・・・』 「・・・そろそろ、手塚もあそこに着いているはずです。 これ以上の被害者を生まない為にも・・・。 間違いは正さなければいけない・・・」 俺がここに存在する事自体、間違いなんだから、殺せばいいんだ・・・。 ここで生きていける跡部景吾は一人でいいんだ・・・。 「おい・・・」 俺は久しぶりに立ち上がって外の景色を見た。 もうすぐ冬が来るのに、陽は夏のような暑さだ。 ここが本当の世界なら、どんなによかっただろう・・・。 「・・・身体は平気なのか・・・」 電話を切った後で、俺は話し掛けてきた。 それに答える気にはならないが、とりあえず自分の手を見つめてみる。 「不二は何かを計画していたらしいが、それも失敗に終わったな。 こっちの世界の不二周助は死んだ・・・」 何故か驚かなかった、不二周助がこの事件の鍵を握っている事は 誰もが予想がついていたはずだ。 だからか、俺はあいつがいつ死んでもおかしくないと思っていた。 あっちの世界の不二周助に殺されてもおかしくないと・・・。 兵役を受ける為に集められた場所でも不二の行動はおかしかった。 元々、現実世界を知っていたとしても、あそこまで外の世界に 拘る物だろうか・・・。 それに、現実世界の不二周助は何故、俺たちを助け出したのか・・・。 自分が殺されることは同じ記憶を持った2人なら分かっていたはずだ。 「不二は恐らく、不二に殺された・・・。 事故死なんかじゃないだろうな。 ・・・あいつは計画を知ってからは、不二とは違う人間になった。 いや、中に居る時から・・・もう違う人間だったんだな」 「・・・俺はお前とは違う人間だ・・・」 「そう・・・だな・・・」 『不二が相手を殺したとなると、その“計画”が不二の動機になるのか? 動機・・・消えた人間・・・。 不二が俺たちを外の世界へ連れ出した訳・・・』 俺は何かが繋がった気がした。 この世界で生きていける人間は・・・・・・。 「なぁ、不二が殺されてしまった以上はあっちの不二に聞く以外 真実は分からないはずだ・・・」 「そう・・・か」 ベッドの軋む音は、俺を不安にした。 誰でもいいから縋りつきたい状況だったけど、俺は何も言えなかった。 これから始まる事が、全て正しいかなんて・・・誰でも理解できる問題だったのに。