反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

 

 

BATTLE.42 行方不明者

DEEP P

 

 

 

 

 

2002年、10月9日。

 

極秘とされたプロジェクトの存在が、政府全体に知れ渡っていた。

 

政府高官の1人だった、天才博士と呼ばれていた男は謎の死により、

 

プロジェクトの内容は不明のままだったが、

 

そのプロジェクトに参加していた一般人からの情報で、事件が発覚した。

 

研究所として使われていた施設は、博士の腐敗した遺体と、政府が博士に

 

製作を依頼した擬似地球だけだった。

 

 

 

参加していた人間は、何らかの原因で行方不明になった者が少数ながら

 

いたと報告されているが、本人達から聞く情報では対処しきれなくなっていた。

 

散乱していた書類の中に詳細な研究の目的はおろか、参加者の名前すら載って

 

いなかったが、参加者全員の親と連絡をとり、許可を得て政府は極秘として

 

この事件を無い物とした。

 

 

 

参加者の中には自分の子供とクローンとして生み出された子供の

 

両方を亡くした者のケアが進んでいるが、行方不明者と戸籍のない

 

クローンの対応はまったくの別物だった。

 

戸籍がない故に、探す事ができないのだ。

 

存在しないはずの人間を政府が認める訳にもいかなかった。

 

完璧なクローン技術の所為で、国中がパニックに陥る危険性も秘めていたからだ。

 

 

 

「・・・・・・ウザイよ」

 

 

 

声を潜めていた不二周助は、閉鎖された研究所に来ていた。

 

自分達がこの中で生活していた事は分かりきっていた事だったが、

 

擬似の地球は、政府に撤去されていた。

 

 

 

「あぁゴメン」

 

 

 

弟の裕太は、懐中電灯の灯りを擬似地球のあった場所へと移動させた。

 

そこには固定されていた部品だけが残り、その他は何も残っていなかった。

 

 

 

「アレがないと、僕たちの副作用の原因が分からないからね。

 

何とか、アレを政府から取り返さないと・・・・・・」

 

 

 

「政府の研究所には、簡単に出入り出来るけど、健康チェック時じゃ

 

時間もないし、持ち出せる訳がない」

 

 

 

「大丈夫、研究施設には同じ様に、コントロールパネルが付いていると思う」

 

 

 

不二は自分の身体に出来たアザを見つめた。

 

ここ数ヶ月で、どんどん広がっていく赤黒いアザは右ひざの裏にできていた。

 

特別、打撲した訳でもないが、それが何かを暗示しているのではないかと

 

不二は考えていた。

 

 

 

「柳に英二・・・・・・」

 

 

 

自分がクローンであるが故に発祥しているとも考えられるアザだったが、

 

研究員はただの打撲と診断していた。

 

 

 

「菊丸さんも柳さんも、どこかで生きてる気がするんだ、俺。

 

だって、突然目の前から消えるなんてありえないだろう」

 

 

 

「僕もそう思ってる。

 

片割れだけが消滅したりもするみたいだしね」

 

 

 

真っ暗な研究所には、2人の声以外は聞えなかった。

 

 

 

「兄貴、やっぱりクローンだから、俺たちは違うのかも知れない。

 

オリジナルは消えない例があるけど、俺たちは・・・・・・」

 

 

 

「消える可能性が高いって事だよね」

 

 

 

約1ヶ月で、地球から出て来た半数が行方不明になっている。

 

そしてオリジナルと共に不明になった数は竜崎桜乃以外、全員だった。

 

 

 

「それでも、それを防ぐのが僕の役目だと思ってる。

 

出してくれたのは、僕だから、このぐらいはしないとね・・・」

 

 

 

「兄貴は、元の世界に帰りたいって思った事ないの?」

 

 

 

「あるかな、もしかしたら何も知らないまま、あの世界で暮らしていたかった

 

かも知れないし・・・・・・全ては記憶が戻ってしまった所為だ。

 

もしも僕が記憶を蘇えさせなければ、時間も何も狂わなかったかも知れない」

 

 

 

懐中電灯の灯りが消えると、不二は呟いた。

 

 

 

「柳たちの世界へ行くのも悪くないかも知れないね・・・・・・」

 

 

 

「兄貴、帰ろうぜ。

 

もしも見つかったら、何を言われるか・・・・・・」

 

 

 

「大丈夫、オリジナルの僕はクスリでぐっすり眠ってるんだからさ」

 

 

 

家に帰った2人は、こっそりと家に上がり冷えた裕太の部屋のベットで眠った。

 

何もかもが、自分の思い通りに進まない苛立ちを胸に。