反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

BATTLE.33 部外者、関係者

DEVIL INSIDE

 

 

 

「竜崎さん、君の片割れは消えてしまったみたいだね。

 

運がいいね、英二も柳も消えてしまったのに。」

 

 

こっちの世界の不二周助は弾んだ声で桜乃に声を掛けた。

 

 

「君は僕に副作用について話しに来たんだろ?」

 

 

「はい、でも私は向こうの世界の不二先輩にも話をします。

 

私はもう部外者なので。」

 

 

「へぇ、さすがに自分だけ助かった人の意見は違うね。」

 

 

不二は悪魔のような言葉を桜乃に落とした。

 

そしてまるで裏切り者のように桜乃を攻め立てた。

 

 

 

 

「不二先輩、私をどう思いますか?」

 

 

向こうの世界の不二周助と話をするのは初めてだった。

 

こっちの世界の不二周助に接近を禁止されていたのだ。

 

 

「私はこっちの世界の人間ですけど、不二先輩の見方です。

 

あの不二先輩は何を考えているのか、分らなくって怖いんです。」

 

 

「竜崎さんは副作用について、彼に話したの?」

 

 

「はい、私はあなたにだけ話をしようと思っていたのですが

 

私は・・・こっちの世界の人を裏切れなかった・・・。」

 

 

桜乃は副作用について不二に話し始めた。

 

 

「菊丸先輩や、柳さんは幸せだったと聞いています。

 

2人を家族として受け入れていたと。」

 

 

「そうだね、英二は幸せそうだったよ。」

 

 

「2人のシンクロ率が高まると

 

2人とも消えてしまうのではと私は考えています。

 

私の片割れはこっちの世界のリョーマくんと

 

幸せになったので消えてしまった。

 

しかし私は彼と幸せになっていないのでシンクロせずに消えなかった。

 

つまり、こっちの世界で幸せになると消えてしまうのではと・・・。

 

馬鹿げた話かも知れませんが、私は彼女とは違うと思っています。

 

リョーマくんと楽しそうにしている彼女に劣等感を募らせていました。

 

同じ記憶を司った私なのに、リョーマくんは彼女を選んだ。

 

本当は消えてしまって喜んでいるのかもしれない、私は汚いから。」

 

 

 

桜乃は自分の鞄からCDを取り出した。

 

そのパッケージにはDEVIL INSIDEと書かれていた。

 

 

 

「これに彼女の日記のコピーが入ってます。

 

あの子が書いていたことは私は体験していません。

 

お互いを認め合ってしまい、同調してしまったら消えてしまう。

 

その推理しか私にはできません。

 

だから不二先輩にも考えていただきたいんです。

 

私はリョーマくんを好きではなくなってしまったのかも知れません。」

 

 

 

桜乃は学校の校舎裏から離れた。

 

 

 

「竜崎・・・。」

 

 

「・・・向こうの世界のリョーマくんだよね。」

 

 

「そう、何話してたの?

 

不二先輩と・・・。」

 

 

「あなたは向こうの世界の竜崎桜乃が消えてしまって悲しいと思う?」

 

 

「そりゃ、いつも回りをウロウロしてた奴がいなくなったんだから、

 

悲しいとは思うけど・・・。」

 

 

 

草の音が風のせいで大きくなった。

 

 

 

「リョーマくんは本当に冷たいね。

 

あの子には優しいのに・・・。」

 

 

 

「俺、アンタのこと好きだよ。

 

向こうの竜崎にはない強さがあるから。」

 

 

 

 

桜乃は悲しそうに微笑んだ。

 

 

 

「・・・本当に?

 

嬉しいけど、私は彼女と同じ運命にはなりたくないの。

 

リョーマくんも決してこっちの世界で幸せを見つけたらダメだよ。

 

あなたまで失ってしまうことになるから・・・。

 

それから、リョーマくんに伝えて。

 

桜乃は幸せだったって・・・。」

 

 

 

リョーマは無言のまま、桜乃が隣を通り過ぎるのを目で追った。

 

 

 

「竜崎は強くなったんだね。」

 

 

「こっちの世界で幸せになってしまったら死ぬ・・・か。

 

僕たちの命は儚いね・・・。」