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反逆の遺伝子
~The Prince of Tennis in Battle Royale~
BATTLE.32 東京の夜
HANABI GA NAITEIRU.
「綺麗だね、リョーマくん。」 「桜乃もこんな星空を向こうで見ていたの?」 「分からない、向こうにいた時は自分の目で見ているのか、 記憶が埋め込まれていたのか区別がつかなかったから。」 竜崎桜乃は今年最後の花火大会にリョーマを誘った。 彼は向こうの世界でずっと憧れていた少年ではない。 記憶で押し込められていた彼なのである。 「桜乃はどう思う、この世界のこと。 俺、不二先輩に聞いたんだ。 菊丸先輩が消えたのはアンタたちが原因だって・・・。」 「そうなの・・・。」 「まだ分からないよ。 でもあっちの不二先輩はもう気が付いているはずさ。」 越前リョーマは呟いた。 「不二先輩はBRをしようとしている・・・。 向こうの世界ではBRからアンタたちを逃したけれど、 自分に害があると分かったら、あの人は何をするか分からないから。」 「その時は私は向こうに戻るよ、自分と殺し合いたくないの。 だって幸せなの、私の家族、私自身がそう感じていて。 本当は今のままがいい、でも2人とも私が消えてしまったら 母さんも父さんも悲しむから。」 「身を引くってこと? でも向こうの世界では桜乃は実験台だよ・・・。」 「いいの、元々・・・私はそんな風に生まれたの。 こっちの世界に出てこなくっても私は幸せだった。」 その時、花火が勢いよく鳴り響いた。 「・・・桜乃、俺は離れたくない。」 「こっちの世界の私とは仲良くしてくれないの・・・。 私は向こうの世界のリョーマくんが・・・好きだよ・・・。」 花火の音で2人の声は掻き消された。 しかしリョーマの目には桜乃の泣き顔が焼きついていた。 「・・・ダイスキ・・・。」 その後、リョーマの目の前で桜乃は消えた。 まるで自分の役目が終わったかのように。 「桜乃、お前は・・・親を悲しませたくないんだろ? お前が消えたら竜崎も消えちまうんだ。」 リョーマの目には涙が溢れ返っていた。 「リョーマくん・・・。」 「竜崎・・・。 どうして、ここにいるんだ・・・。 だって桜乃は・・・・消えた・・・・。」 竜崎桜乃は微笑んだ。 「副作用が起こった原因はリョーマくんのせい。 私とあの子の運命は放れてしまった。 私が好きだったリョーマくんを取られて悔しかったのかも知れない。」 「竜崎・・・。」 「私もリョーマくんのこと好きだった。 でも私は消えられないの、母さんを悲しませるわけにはいかないから。」 リョーマは下を向いて笑った。 「竜崎は強くなったんだね、いつの間にか。」 「そうだね、あの子に教わったの。 大好きな人を取られてしまって悲しかったけれど それでも私には家族がいるもの・・・。 ここから逃げるわけにはいかないわ。」 「向こうの世界の不二先輩が副作用について調べていたよ。 教えてあげなよ、こっちの世界の不二先輩よりは 正しい選択をしてくれるはずだから。」 桜乃は花火の音に聞き入った後、ここを後にした。 「花火が泣いている。 あの子が消えてしまった以上、私は戦いに参加する資格もない。 それに私はいつも通りの生活に戻る。 あの子は恋に落ちたシンデレラだった、 もしかしたら私もそうかも知れない。 時間が来てしまった以上、シンデレラは灰被りに戻ってしまった。 私も楽しかった、あの子といれて。 それにリョーマくんと話せて・・・・。」 東京の空には幾千もの花火が打ち上げられていた。 「大好きだよ、桜乃。 ほんの少しだけど、私を強くしてくれてありがとう。」 桜乃の目には涙が溢れていた。