反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

 

BATTLE.31 相等の関係

THEY’RE LIKE THE TWINS.

 

 

 

 

「青い鳥を手に入れた貴方たちは幸せになれたのですか?」

 

 

幸せになりたいから実験に参加した。

 

逆らえないから実験に参加した。

 

こっちに来た全員の親に参加した訳を聞いた。

 

呆れてしまう言い訳。子供のために他の子供を犠牲にしても良いのですか。

 

自分のエゴで子供を苦しめてもいいのですか。

 

 

「犠牲にされることは最初から分かっていたの。

 

仁にはあのことも話していたわ。

 

実験に参加したこと、もう一人の仁がいることも。」

 

 

亜久津くんのお母様は小さな子供が二人写った写真を僕に見せた。

 

少しだけ亜久津くんの面影があった。

 

 

「これ、政府の人は知ってるんですか。

 

この写真は極秘のはずです。

 

もしもバレでもしたら。」

 

 

 

「捨てられなかったのよ、これだけは。

 

ほんの少しの間だけど、あの子たちは兄弟のように暮らしていたの。

 

まだ2歳にも満たない頃よ。

 

すごく仲が良かった、2人とも私が産んだみたいだった。

 

それに実験に参加したのは仁との暮らしを良くするため。

 

産まれる前から、母子家庭と決まってしまっていた

 

仁をちゃんと育てたかった。

 

私1人でもちゃんと育てるって親に言ってしまってね、後戻りできなかった。

 

でも実際には自分の面倒すら見られなくって、お金に困っていたの。

 

そんな時、政府に声を掛けられたわ。

 

実験に参加しないかってね。

 

彼らは仁の将来を保障してくれると言っていたわ。

 

だから私は実験に参加したの。

 

でもその結果が・・・・。」

 

 

 

「亜久津くんもあなたも不幸になってしまったと・・・。」

 

 

 

悲しいほどの沈黙が流れた。

 

 

 

「仁は私を攻めたわ。

 

自分の片割れを奪われたんだから。

 

仁の幸せのためなんて嘘ね・・・。

 

私のエゴだったのよ。」

 

 

 

僕が彼女の元を立ち去ろうとした。

 

その時、彼女は言った。

 

「ごめんなさい」と一言。

 

その声を後に僕は不二くんが待っている喫茶店へと向かった。

 

 

 

 

 

「観月、こう言うのって結構辛いでしょう?」

 

 

下を向いて悲しい微笑みを見せる不二くんは

 

僕の戦っていた不二くんとは思えなかった。

 

 

「いえ、僕には向いていますね。

 

もともと情報収集が得意ですから。

 

まぁ君のところの乾くんには負けますけどね。」

 

 

「観月はもしも、僕たちと戦うことになったらどうする?」

 

 

「どういう意味ですか?」

 

 

彼は無気力と言い表せる表情をしていた。

 

 

「僕がしていることは副作用を強くさせていることなのかも知れない。

 

英二がいなくなってしまってからも、ずっと考えていた。」

 

 

「副作用を強く・・・。

 

菊丸くんと柳くんが消えてしまったことですか。

 

しかし、何故そんなことが分かるのですか。」

 

 

僕は焦っていた、こんな重大なことを1人で背負った不二くんに

 

罪悪感を覚えていたからだ。

 

 

「だって、こっちの親の話を聞いて回れば回るほど

 

皆は愛されているって実感してしまうんだ。

 

僕はこの世界を憎んでいる、僕らを捨てたアイツらが憎かった。

 

気付いてしまった事が僕の不幸の始まりだったのかも知れない。」

 

 

「不二くん、ちゃんと説明してください。

 

僕は貴方と一緒に解決したいと思っているんです。」

 

 

僕はここが喫茶店であることも忘れて大声を張り上げていた。

 

 

「この世界で愛されていると実感してしまった、それが答えだよ。

 

英二は僕によく家族のことを話してくれた。

 

お姉さんたちには『弟が双子になったみたいで嬉しい』って

 

言われたって喜んでいたよ。」

 

 

「それじゃあ、この世界で幸せと感じると副作用によって姿を消してしまうと

 

いうことになるんですか?」

 

 

「僕が導き出した答えはソレしかない。

 

仲間を失いたくなかったら、自分を、こっちの世界の僕たちを殺すしかない。

 

もう時間もない、それにこっちの世界の彼らが気付くのも時間の問題だ。

 

得に僕なんて、もう気が付いているのかも知れない。

 

きっと僕を助けたことを後悔しているよ。」

 

 

僕はこの先に避けようのない困難があることを実感した。