反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

 

BATTLE.29

My Brothers are Afterimages.

 

 

 

 

 

「桜乃、また来てくれたの?」

 

 

私なりにこの世界には慣れてきたつもりだけど、

 

今でも皆の声を聞くと足が震える。

 

この家の人たちは私を家族として受け入れてくれている。

 

でもそこには私がいるの、もう1人の私が。

 

 

 

「朋ちゃん、今日ね・・・リョーマくんたちといろいろ話したよ。

 

明日からは朋ちゃんも学校に来ない?

 

手塚先輩たちもいるし、堀尾くんも・・・・。」

 

 

 

「堀尾・・・・。

 

そう言えば堀尾とかカチローとかあっちにいるのかな?」

 

 

 

「昨日ね、皆で話あったんだ。

 

ある程度、私にも理解できたんだけど

 

堀尾くんたちはいないみたいなの。

 

それと私たち以外の人間はあの国にはいなかったってことになる。

 

ここじゃ誰に聞かれるか分からないから、明日学校に来て。

 

朋ちゃんがいないと不安だよ、私。」

 

 

 

桜乃の言葉を聞いてからしばらくの間は玄関から動けなかった。

 

その場に跪いて、冷たい地面の感触が太ももに感じられた。

 

それと同時に暖かい涙が頬に流れていた。

 

 

 

「桜乃・・・。

 

私、現実が怖いの・・・・。

 

だって消えてしまうかもしれないんでしょ?

 

菊丸先輩みたいに・・・・。」

 

 

 

「おねえちゃん?」

 

 

 

弟の声で我に返った。

 

そこには居なくなってしまったはずの弟が当たり前にいる。

 

もう何日も一緒に過ごしているのに

 

その声が偽物のような気がしてならない。

 

 

 

「大丈夫よ、大丈夫。

 

ちょっと眠たくなっちゃったの、部屋で休めば平気よ。」

 

 

 

そう言い残すと2人の弟の間を抜けて自分の部屋へと向かった。

 

ただしくは本物の私の部屋に。

 

部屋の内装は変わらないけれど、

 

やっぱり私の部屋の気がしてならないのだ。

 

 

 

「何でみんな平気でいられるんだろう。

 

私なんて・・・。」

 

 

 

そっと目を閉じると一気に睡魔が襲ってきた。

 

そして真っ暗な世界に落ちていった。

 

 

 

『おねえちゃん、きょうははやくかえってくるの?

 

おかあさんもきょうはおそいっていってた。

 

だからはやくかえってきてね。』

 

 

 

幼少の私が何故か今と同じ年の弟に話しかけられてる。

 

同じ年ぐらいの弟。

 

本当なら10歳は離れているはずなのに。

 

 

 

『むりよ、だってきょうはみんなとおわかれをいう“ひ”だもの。

 

わたしが3さいになったら、

 

おわかれをしないといけないひなの。』

 

 

 

『・・・もうかえってこないの?』

 

 

 

『かえってこないよ、ずっと。』

 

 

 

『かえってこない・・・。』

 

 

 

 

 

「嫌よ、帰りたい。

 

おうちに帰りたい・・・・。」

 

 

 

 

 

自分の声で目が覚めた。

 

外はすっかり真っ暗になっていた。

 

 

 

 

「・・・朋香、夕食できたから・・・・。」

 

 

 

汗びっしょりの私を見て同じ顔をした彼女が驚いていた。

 

 

 

「何かあったの?」

 

 

 

「いいえ、ただ疲れてるの・・・。

 

あっそれと、私・・・明日から学校行くね。

 

今日、桜乃にも言われたから・・・・。」

 

 

 

私は夢でみた風景に見覚えがあった。

 

何故、この家の記憶があったのか確かではないけれど

 

たぶん、私はここから出で行った記憶が残っている。

 

ここで暮らしていた、ほんの数年だったけれど。

 

そう今、確信してしまった。