![]()
反逆の遺伝子
~The Prince of Tennis in Battle Royale~
BATTLE.27 すれ違い
I’m different from my fact.
「国光、気分はどうだ?」 「少し緊張してますね、こっちに来てから2週間も過ぎたのに 学校に行くのは初めてですから。」 手塚国光の家の食卓では朝の慌しさはない。 いつも朝食は学校に行く二時間は前だからだ。 「気にするな、お前は俺だ。」 いつもより多い食卓の席にも成れてきたと日頃から手塚は思っていた。 「それに母さんが生きていることが不思議で・・・。」 手塚は向こうの世界で一度母親を亡くしている。 それは手塚を庇った所為だった。 「・・・記憶が違っているのか?」 「あぁ少し違っているな。 それは俺だけではない、跡部もそうだ・・・。 跡部は中学はドイツに行っていたんだ。 テニスの試合以外では留学ということになっている。 だから俺と対戦したのは今年の夏の関東大会が最後だ。」 淡々と喋る手塚だったが、もう1人の自分に少し疑問を投げかけてみた。 「こっちの跡部は留学していなかったのか? 跡部は関東大会の後、ドイツに本格的に行ったのだが 兵役で帰ってきたんだ。」 「こっちは全国大会に出場したんだ、氷帝は。 どこかですれ違いが起っているんだな。 まぁ何年もの間、少しずつではあるがミスが発生したんだろう。 向こうの不二がこっちの世界のことに気付いていたように。」 箸を持つ手が止まっていた。 目の前で玉子焼きを頬張る自分を見つめた。 「・・・俺は母さんを何故失ったのだろうか・・・。 こっちの世界の俺は母さんと普通に暮らしているのに・・・。」 「エラーが発生したんだ、あの世界にも限界が来ていたのだろう。 そして誰かがあの世界の情報を操っていたのかもしれない。」 2人は同時に立ち上がった。 「学校に遅れてしまうな。」 「あぁ行って来い。 向こうの奴らと話をするのもいい。 他の奴らもどこかしら違う所がでているのかも知れないからな。」 こっちの世界の手塚は少し戸惑いながら食器を片付け始めた。 「いつもの癖か。 俺たちはやはり、同じ遺伝子で出来ているのだな。 そして同じ記憶を保持している。 たとえそれが少し違っていたとしても。」 手塚は彼の背中を見ながらそう呟いた。 「いってきます。」 「あぁ行ってこい。」 初めて自分とあいさつを交わした。