![]()
反逆の遺伝子
~The Prince of Tennis in Battle Royale~
BATTLE.26 実験開始
KIDS are SILENT
「・・・今日で本当にお別れなのね。」 亜久津優紀は透明な窓越しに手を当てた。 「本当にそっくりね、仁。 まるで貴方を失うみたいで悲しいわ。 これから幸せな運命を辿っていってくれると信じてる。 だって仁を幸せにすればその記憶を 貴方も共有してくれるって聞いたから。」 青いスモックを来た幼い亜久津はテレビに夢中に成っていた。 「・・・失いたくないのよ、本当は。 2人とも私が育てたい・・・。」 「準備が整いました、これから移動してもらう事になります。 見送りたい方は私の後に着いて来てください。」 男は優しそうな声で言った。 「彼らの将来は決まっています。 幸せになると。 私たち組織の人間は私を含めて10人程度しかいません。 言わば機密の組織です。 これが外に漏れれば私達も只ではすみません、そして貴方たちも。 私は子供を亡くしています、それに妻も。 子供の死因は遺伝子の異常で突然死でした、 それから遺伝子の研究を始めたんです。 この実験を知っているのは私と後の9人だけ、あとは貴方たちだけです。 どうか外には漏らさないでくださいね。 クローンを作ったと知られたら、 この実験は全て闇に葬られてしまう・・・。」 亜久津優紀は亜久津を抱いたまま歩き出した。 「仁、貴方が幸せに成れる様にがんばるからね・・・。 だから向こうでも・・・どうか・・・泣かないで・・・。」 亜久津優紀はこの実験に参加すれば仁の将来を 保障してくれると言われて参加した。 遺伝子の提供を求められた時、優紀は最初は拒否をしたが、 私生児として生まれてくる仁の将来を案じて遺伝子を提供した。 18歳の頃の彼女にとってみれば大人の判断だった。 「・・・仁、3人で頑張って行こうね。」 「ここが彼らの住む、世界になります。 直径10メートル、半径10メートルの球体ですが、 これが彼らの地球となります。 中は私達の世界と変わりありません、水も電気もあります。」 越前リョーマの母親が手を上げた。 「・・・誰がこの子たちの世話をするんですか? 研究員は10人程度しか居ないと言っていましたが・・・。」 「・・・それは心配要りませんよ。 食事などは私達が作りますし、記憶は外の世界のモノが更新されます。 記憶が繋がっているので貴方たちと過ごしていると 彼らは錯覚しますから、何も心配は要りませんよ。」 「錯覚・・・、私達と暮らしていると錯覚しているんですか?」 「声も聞えるし、体温も感じている。 バーチャルリアリティーのようなものですから。」 少し納得出来なかった優紀だったが、それに従ってしまった。 ここまで来たら従わざる終えなかった。 「皆さんも中に入ってみますか? 最後にお子さんにお別れを告げてください。 と言っても彼らにとっては別れではありませんが。」 「仁、私の手を握って。」 別の部屋に置いてきた本物の仁とまったく同じ顔の 別の仁に優紀は話しかけた。 いつも仁に話しかける様に。 「・・・かあさん・・・?」 初めて会ったのに自分を母親だと認識していることに 優紀は涙した。 「ごめんね、仁・・・。」 「さあ、行きましょうか?」 男の声で優紀は仁の手を強く握った。 「6歳になったばっかりの子供を置いていくなんて・・・。 こんな得体の知れない場所に閉じ込めるなんて。」 そこはまるで牢獄、モルモットが逃げ出さないために造られた折だった。 擬似世界の中では55人の実験台意外は誰も住んでいないのだから。 「越前さん、大丈夫です。 アメリカに帰られてもここの様子はあの方たちが 報告してくれるそうですから。」 「そうね、リョーマが日本に帰ってきた時には 彼も仲間と一緒に居られる様になるのね。 だったら早目に帰ってきましょう、 彼が仲間と居られるように・・・。」