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反逆の遺伝子
~The Prince of Tennis in Battle Royale~
BATTLE.16 物真似ごっこ
A copy cat is crying.
家に着いたはいいけど、俺の家が外にもあるなんて 不思議な感覚だった。 俺の部屋には俺と同じ顔をした男が座っていた。 彼は微笑んでいた、まるで親しい友人を部屋に招いた様に。 「初めまして、俺の事知ってるでしょ?」 猫の様な男、そう俺の顔をした男。 越前リョーマ、彼はそこにいた。 あの世界にいた親父に母さん、従姉の菜々子さんに カルピン、俺のいた生活がそこにはあった。 「リョーマさん、こちらに洗濯物おいときますね。」 俺を見た、俺の知らない菜々子さんは 俺に会釈をして部屋の外に出て行った。 「あの人は俺を見ても何も思わないの? 普通、驚くでしょ?」 俺の質問に俺はこう答えた。 「あぁ、驚かないよ。 前から言ってたし、それにそんなに驚くことでもないでしょ。 誰でもある事だよ、もう1人自分が存在するなんて・・・。」 此処に来てから初めて寒気が俺を襲った。 手塚部長と同じ顔をした男を見ても何も思わなかった俺だけど 目の前の俺に寒気を覚えずにはいられない。 物怖じしない性格だと自分で分かっていても 目の前の俺も物怖じしていない、まったく同じ性格だと言う事に。 「そろそろ、昼飯食べようか? アンタ、まだ食べてないでしょ? しかも此処に来る前は何も食べなかったって跡部さんに聞いたよ。」 俺の腹は空腹だった。 良く考えれば訳の分からない兵役を受けさせられると聞いて 準備していたらいきなりこんな世界に連れてこられたのだから。 「あぁ、そういえば昨日の朝から何も食ってない。 しかも跡部さんっていうアザエルさんも俺に何も食わせてくれなかったし。 跡部さんなら何か上手いもの食わせてくれると思ったのに。」 俺は精一杯の言葉を落とした。 俺の知っている跡部さんとは違う跡部さんが俺に言っていた。 “越前、お前はこの事実をどう受け止める?” “お前と同じ顔をした男がお前を待っている。” “それはお前を救うためなのか、それとも破滅させるためなのか 意図は不明だ、それでもお前はそいつに着いていくのか?” “俺はもう戻らない。 下らない、兵役も政府の陰謀にも戻らない。 幸せな生活も要らない、俺は生きる為にアンタに着いて来たんだ。” 「サル山の大将は結構シビアな人だからね。 混乱している奴のいる時に飯になんてしないだろうし。 あんなんでもしっかりしてるから、あの人。」 俺と目の前の越前リョーマは昼食を食いに街に出た。 俺は深くニット帽を被ってから外へ向かった。 「こんな目立つ事していいの? もしバレたらアンタ、あぶないんじゃないの?」 俺は疑問を目の前の俺にぶつける。 ソイツは応える。 「大丈夫。 政府の一部の奴しか、アンタ達の事は知らないから。 日常生活はそのまま送れるよ。 ただ学校とかにはいけないけどね。 でもたまには俺の代わりに行ってくれてもいいけど。」 街のざわつきも俺のいた世界と何も変わらなかった。 「アンタと一緒に来た人たちとは逢っても大丈夫だから。 皆、アンタたちの事知ってるし。」 「そうなんだ・・・。」 何も変わらない世界に俺は途惑った。 此処は俺の世界なんじゃないかと何度も思った。 でも違う、目の前に俺の姿をした男の世界だと今実感している。 「桃先輩!」 目の前に桃先輩がいた。 何時も行くバーガーショップの前で偶然出会った。 「桃先輩も連れてきたんっすか?」 「あぁ、どうしても食べたいってコイツが聞かないからな。」 桃先輩の後ろには俺の知っている桃先輩が顔を覗かせていた。 「越前もか?」 「そおっす。 家に居ても何も変わらないからコイツを連れてきたんですよ。」 俺のしてきた生活も目の前の男がしている。 まるで自分の映像をみているみたいだ。 狂いそうになっている、俺の日常が目の前で繰り広げられているのだから。 「桃先輩、生活には慣れました?」 俺は口を開いた。 先輩は思ったよりも元気そうに言った。 「あぁ大分な。 って言ってもまだ半日も経ってないけどな。 妹も弟も俺の事慕ってくれるし、元の世界と変わらねえし。 ただ目の前に俺と同じ顔の男がいるってだけだな。」 「桃先輩は相変わらずですね。」 桃先輩を見つけて少しだけ安心した。 もしも俺1人だけの生活だったらきっと耐えられなかったから。 「おい、お前たち。 早く中に入ろうぜ、俺腹減ってんだ。」 俺の知らない桃先輩は俺を手招きしていた。 その隣には俺が立っていた。 『俺ってなんなのだろうか・・・。』