反逆の遺伝子

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

 

 

BATTLE.10 逃げ出した兎

The leverets ran away.

 

 

 

 

 

「おい、侑士。

 

不二の言う本当の世界ってどんなところなんだろうな。

 

俺、今までずっとこの世界が現実だと思っていたのに。」

 

 

 

「まだ、不二の言っている事が正しいなんて決まった訳やないし。

 

でも今は不二の後に着いて行くしかないんや。

 

今戻ったところで俺達はあそこで殺し合う運命なんやから。」

 

 

 

2人は集団の後方を歩いていた。

 

不二を先頭に殆どのメンバーが不二に着いて来た。

 

跡部と手塚を残して。

 

 

 

「手塚はどうして跡部に構うのだろうか。

 

あいつは大切な仲間だから、俺はアイツの言う事の方が正しい気がする。

 

現実は今のこの状態のことで不二の言う、本当の世界なんてないって・・・。

 

俺達は戦う運命なんだって思ってる。」

 

 

 

向日がそう呟くと宍戸は顔をしかめた。

 

道は木が茂っていて歩き憎く、そして昼間だというのに暗い。

 

気を抜いたら全てが崩れてしまいそうな精神状態の中で彼らは進む。

 

真実を見るけるために前にただ進む。

 

 

 

「跡部、お前は何故不二の言う事を信じないのだ。

 

それとも殺し合いをする方がマシな現実でもあると言うのか。」

 

 

 

 

 

「お前は怖くないのか、俺達の今までが全てウソなんて・・・。

 

今まで築いてきた物、全てが・・・虚像だなんて。

 

それを受け入れろと言うのか?」

 

 

 

跡部の頬には暖かい水が流れていた。

 

 

 

「俺は何故、産まれて来たんだ?

 

殺し合うためじゃない、生きるためだ。

 

なのに・・・殺し合うだけじゃなく、俺の全てを否定するのか?」

 

 

 

手塚は跡部の肩に手を置いた。

 

 

 

「・・・そうだな、お前の気持ちは分かるつもりだが。

 

他の奴らは殺し合いをしてくないから不二に着いて行ったんだ。

 

真実を知る事を恐れていても前に進めない。

 

お前の築いてきた物は失ってしまうかも知れないが

 

今の仲間を失うよりはマシだと思わないか?」

 

 

 

 

「俺は怖い、俺を否定されてしまうのが、怖いんだ。

 

今までの俺は本当の俺ではなくって他の自分が・・・・。」

 

 

 

跡部の肩から手を離した手塚は跡部を立ち上がらせた。

 

 

 

「俺は此処でお前を失いたくはない。

 

仲間だからだ、そして今のお前は俺が記憶している。

 

だから行こう、真実は今のままでは見えてこないのだから。」

 

 

 

「不二、手塚は俺達に追い付けるのか?

 

こんなに離れてしまっては・・・。」

 

 

 

 

大石は不二の後方から話しかけた。

 

 

 

 

「大丈夫だよ、手塚は跡部を連れてくる。」

 

 

 

不二には確信があった。

 

この道に不二は見覚えがあったからだ。

 

 

 

「この道はね、僕達が始めてこの島に来た時の道なんだ。

 

日本から非難してから10年、僕は覚えている。

 

どんなに記憶をいじられても此処だけは覚えている。

 

そして手塚のお母さんを見かけたのも此処なんだ。

 

手塚はきっと昔の記憶を辿ってここまで来れると思う。」

 

 

 

 

 

「ねえ、不二くん。

 

あっちに家があるよ、あそこに、ほら。」

 

 

 

列の中央付近で歩いていた千石が分かれ道になっていた場所で

 

一見普通の家を見つけた。

 

 

 

「・・・無人の島に何故・・・家・・・・。」

 

 

 

橘は神尾と杏に支えられながらも呟いた。

 

 

 

「・・・私、見覚えがあるわ。

 

だってここ・・・・私知ってるもの・・・。」

 

 

 

突然、喋り始めた杏に神尾が心配そうに話しかける。

 

 

 

「杏ちゃん、大丈夫だよ。

 

きっと同じ様な家を知っているだけだから。」

 

 

 

 

 

「違う、私・・・知ってる・・・。

 

不動峰に来る前、ずっと前・・・私は・・・・。

 

この家に居たもの、その頃はまだ、ゴクトラも飼っていなくって。

 

それで・・・・・。」

 

 

 

 

「杏・・・。」

 

 

 

 

 

「追い付いた様だな。」

 

 

手塚の声に不二が気付いた。

 

 

「跡部を説得してくれたのかい?」

 

 

「あぁ、少し時間は掛かったがな。」

 

 

 

跡部は手塚に担がれていた。

 

 

 

「手塚くん、本当に説得したの?

 

何か無理矢理連れてきたみたいだよ?」

 

 

 

千石は手塚に担がれている跡部がぐったりとしているのを指摘した。

 

 

 

「・・・すまないな、跡部。

 

でもお前だけ残して行く訳にもいかないからな。」

 

 

 

 

「エスケープは成功かな。

 

でも此処からが問題だね、彼らが僕達に協力してくれるかだ。」

 

 

 

 

 

 

兎は逃げ出した。