子供達の聖戦

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

 

 

Battle.9 究極の理想の世界

The world of Ultimate ideal.

 

 

 

 

 

「おい、宍戸。此処の池なんか澱んでないか?」

 

 

「そうか?普通の池は大体澱んでるモンなんだよ・・・。」

 

 

 

宍戸と跡部は氷帝の待ち合わせ地点に来ていた。

 

 

 

「何か嫌な感じがするぜ・・・この池。

 

何もかも飲まれちまいそうな・・・気がする・・・。」

 

 

 

「何言ってんだよ!

 

跡部らしくないぜ、まぁこんな事になって

 

いつも通りの方がおかしいけどな。」

 

 

 

跡部の見つめる先には緑色に染まった池がある。

 

 

 

 

「俺の家にあった池はもっと綺麗だったがな・・・。」

 

 

 

「何十年も放置してんだ、綺麗な方がおかしいぜ。」

 

 

 

「此処、家・・・だったんだな。

 

人が住んでない島にしては豪華な造りの家だな。

 

政府に追い出されたのか、何かなのか。」

 

 

 

宍戸は自分のデイバッグを漁り始めた。

 

 

 

「何をしている、宍戸。」

 

 

 

「跡部も調べてみろよ、

 

自分の身を守るのは大切な事だぜ。

 

今の環境じゃ、いつ殺されてもおかしくないからな。」

 

 

 

 

「・・・宍戸、あいつ等ゲームに乗ったと思うか?」

 

 

 

「何でだ?お前の部員だろ、何で信じないんだ?」

 

 

 

 

予想外に落ち着いた反応の宍戸に跡部は途惑った。

 

宍戸なら仲間を疑う様な行為は許さないと思ってたからだ。

 

それに宍戸なら考えるより先に手が先に出るからだ。

 

 

 

 

「宍戸、随分落ち着いてるじゃねぇか・・・。

 

こんな状況下で以外だったぜ。

 

俺を殴らないくらいに大人に成っちまったのか?」

 

 

 

「・・・だったらどうする?

 

俺がこんなに落ち着いているのは何か裏があるからじゃないのかって

 

疑ってみたらどうだ?

 

お前はいつもそうだったからな・・・。

 

周りではお前を絶賛する声が聞えたが、

 

俺にはお前の本当の顔を知っていた。

 

影で努力している事も、でもお前は何時も部員を信用していなかった。

 

俺はお前を疑っている、他の誰よりもお前をな。」

 

 

 

 

跡部は確信を付かれた様に唖然とした表情を見せた。

 

 

 

 

「・・・何か宍戸変だぞ・・。今日。」

 

 

 

「変か?

 

お前が何時も俺を見ていないだけだろ。

 

表面しか見ていないだけ・・・俺もお前もな・・・。」

 

 

 

 

「お〜い、宍戸、跡部。」

 

 

 

木の向こうから金髪の髪が見えた。

 

 

 

「ジローが来たみたいだな。」

 

 

 

「おい、おい俺が一番先に出たのに二人の方が早いのかよ。

 

跡部も俺と出る順番近かったんだから待っててくれれば

 

よかったのによ〜。」

 

 

 

「悪いな・・・。

 

でも出口で待ってたら即殺される運命だったかもな。

 

案外、ゲームに乗りやすい奴がいるし。」

 

 

 

「それ誰の事だよ?

 

まさかウチのメンバーじゃねぇだろうな?」

 

 

 

『どうした?宍戸。

 

お前、さっきと別人みたいじゃねぇーか。

 

まさかお前、ゲームに乗ったのか?』

 

 

 

跡部の微妙な変化に宍戸は不適に微笑んで見せた。

 

 

 

「跡部、ゲームは始まってるんだ。

 

あいつ等みたいに殺し合おうぜ・・・。」

 

 

 

 

「え?宍戸、何?」

 

 

 

慈郎の惚けた声と共に宍戸は跡部に向かい走り始めた。

 

 

 

 

『このままじゃ俺もジローも殺される・・・。』

 

 

 

跡部の横を宍戸が通り抜けた。

 

 

 

『何?!』

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁっぁぁ!!」

 

 

 

 

 

その絶叫と共に慈郎は深い池へと落ちていった。

 

 

 

「ジロー!!待ってろ、今助けてやるから。」

 

 

 

跡部の背後に宍戸が立った。

 

 

 

「お前、自分の状況分かってないだろう?」

 

 

 

宍戸は慈郎の血の付いたナイフを跡部の背中に押し付けた。

 

 

 

 

「今回は見逃してやる。

 

 

お前にこんな所で死なれたら・・・つまらねぇしな。」

 

 

 

 

宍戸はデイバッグを背負って2人の元を離れた。