子供達の聖戦
~The Prince of Tennis in Battle Royale~
Battle.5 ココロが痛い
3分ほど前にサイレンが成った、俺達が殺し合いをする合図だ。 デイバッグに入っていた説明書によると死亡者の発表は一日一回、 夜中の12時にながされるらしい。 部活に勤しんでいる俺達が普通こんな時間に起きている訳が無い。
「深司、不動峰のメンバーは杏ちゃん以外は見つかったぜ! 神尾と橘さんは杏ちゃんが見つからないから焦ってるけど。 でも、良かったよな。こんなに早く仲間が集まって。」
伊武深司は珍しくよく話す森辰徳に冷たい視線を送っていた。
「杏ちゃん、何で逢えないんだ。 そんなに出た時間もそんなに離れてないのに。」
「神尾、心配するな。 杏なら直ぐにひょっこりと顔をだすさ。」
『何でこの人達はこんなにも危機感が無いんだ? 普通、こんな環境に置かれたら少しくらい人を疑うべきだ。』
「深司!お前、デイバッグ開けたか?」
神尾は自分のデイバッグから3日分の食料と スミス&ウエスンチーフスペシャルを取り出した。
「警戒、しなさ過ぎ・・・アキラ。」
「何か言ったか?深司。」
「うんん、何も。」
深司は自分のデイバッグを広げ中身を確認した。
『ふ〜ん、アキラの武器があの銃で俺の武器がフォークね・・・。 アキラって運良過ぎないかなぁ、むかつくなぁ。』
「他の皆は? 皆も早めに武器を確認した方が良いと思うよ。 もうサイレン鳴っちゃったしね。」
不動峰のメンバーは次々とバッグを開け始めた。
「俺、ボウガンだ!」
長身の石田鉄はそう叫んだ。
『ちっ不利だな、俺じゃ石田には叶わない。』
「俺は釜!」
森辰徳は釜、橘桔平は青酸カリ、内村京介は吹き矢 桜井雅也はサバイバルナイフ。
『どいつも俺より強い武器、勝ち目がない。 俺には勝利の女神は微笑まなかったのか? ・・・なら微笑ませるまでだ。』
伊武は橘たちに提案をした。
「周りが騒がしく成る前に腹ごしらえしません? これから、色々と大変な事になりそうですし。」
「千石さぁ〜ん」
サングラスを掛けた室町十次は千石清純に話し掛けた。
「室町くん!よかった君もこの近くに居たんだね。」
「えぇ、この付近なら木が茂っているので人が来ないと思って。」
そんな二人の姿を1人の少年が覗いていた。
伊武は自分の武器の軟弱さに溜息を付いた。
「何で、俺だけこんな武器なんだよ。」
不動峰のメンバーはデイバッグから缶詰を取り出している。
「おい、皆。 先にパンを食べてしまおう、缶詰は後に取っておいたほうがいい。」
橘の提案に皆は賛同した。
「おい、深司。 やっぱり、橘さんって頼りになるよな。 もし、帰れたら・・・俺・・・。」
『俺はこの人たちを裏切れるのだろうか?』
ココロが痛い・・・ |