子供達の聖戦

The Prince of Tennis in Battle Royale 〜

 

 

 

Battle.44 帰ろう、元の世界へ

 

 

 

 

 

 

 

「お前を殺す事に成っても俺は・・・・。」

 

 

 

 

幸村は柳にその言葉を残した。

 

 

「約束を守ると言うのか?」

 

 

 

爆発、全員の首を爆発する。

 

コレが俺の最後の仕事。誰にも邪魔させない。

 

こんなゲームは終わらせる。

 

生き残った彼女の辛そうな顔が目に浮かぶから。

 

 

 

「あぁ、俺は帰りたい。

 

帰って何もかも終わらせたい。

 

大切なモノを失いすぎて何も分からない状態なんだ。

 

帰って心の整理をしたいんだ。」

 

 

 

 

 

 

爆破準備まで3分前。

 

 

 

 

 

人は罪の重さを知らない。

 

でも命の重さなら分かるはず、こんなに苦しんでも生きたいと願うなら

 

お前を生かしたいと思う。

 

 

 

 

『姉さんと家に帰りたい、助けて欲しいと願っていた姉と帰りたい。』

 

 

 

 

コントロールルームでは幸村と柳の会話がキャッチされていた。

 

 

 

 

「お前は何を望んでこのゲームに参加したんだ?

 

俺は復習の為、お前は姉の為か?」

 

 

 

 

 

生きているって事は素晴らしい事だ。

 

死んでしまったら何もかもが終わってしまうから。

 

生きたいと強く望めば不可能を可能にする。

 

さよならは言わない、ありがとうだ。

 

 

 

 

 

「幸村・・・。」

 

 

 

マイクで放送した言葉は島全体に響き渡った。

 そして爆発音が響いた。

 誰にも邪魔できない幸せがある、それは・・・・。

 

 

 

 

 

「柳・・・。」

 

 

 

 

他人を思いやる気持ちだ。

 

お前は他人を殺した、でも思いやる気持ちを忘れなかった。

 

憎んでも許せる心があった、そしてお前は生きる事を望んだ。

 

お前くらいの精神力があればお前は生きていける。

 

どんなに困難な道のりでも、どんなに辛くても。

 

 

 

 

「精一・・・・。」

 

 

 

「帰ろう、姉さん・・・・。

 

元の世界に、綺麗な世界に帰ろう・・・。」

 

 

 

 

 

綺麗な世界なんて無いと知っていても人はソレを願い求めている。

 

 

 

 

 

「綺麗な夕日だね、彼が残してくれた世界だ。」

 

 

 

 

 

彼らは何を望んだのか。

幸せになれたのか、なれなかったのか。

 

誰のも分からない、だってそれは自分で決めるモノだから。

 

 

 

 

世界の争いはまだ終わっていない。

 

でも姉さんも俺も賢明に生きている。

 

死んでしまう事に恐れながらも生きたあの日を忘れない。

 

そして大切な仲間たちを忘れない。

 

 

 

 

 

 

 

優勝者 幸村精一