子供達の聖戦

The Prince of Tennis in Battle Royale 〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Battle.39  間違い探し

 

 

 

 

 

 

 

 

“裕太は死なずに済んだはずなのに何で殺したの?”

 

 

「・・・誰も居ないんだね、此処には・・・。」

 

 

研究室を思わせる部屋が並ぶ室内。

 

此処は政府が設置している更生施設兼監視室。

 

此処で何人の人が苦しんだのだろうか?

 

 

 

 

「僕も此処に入るのだろうか?」

 

 

 

不安に成った、殺し合いに参加しているのは

 

裕太を殺した奴を殺す為、幸村を殺す為なのに。

 

不二はいきなりの脱力感に襲われた。

 

 

 

「もしも僕が勝ったらこのゲームを終わらせる。

 

政府にでも何にでも逆らって、殺されても構わない。」

 

 

 

“大切なモノ1つも守れないのに僕は何を言っているのだろうか。”

 

 

 

「殺したのが俺ならば死んだのはお前だ。」

 

 

 

テレビモニターに少年の声が聞えてきた。

 

宍戸亮が跡部景吾を殺していた。

 

 

 

 

 

 

 

「どうして戦うんだい?

 

僕はもう疲れたよ・・・。」

 

 

 

この室内の何処かに監視ルームがあるはずだ。

 

しかし首に付いた発信装置は作動していない。

 

不二は部屋を手当たりしだいに開け始めた。

 

 

 

 

 

 

「此処は何処なんだろうか・・・。」

 

 

真っ白なカーテンの引かれた部屋には女の人が座っていた。

 

 

「千石くんは死んでしまったそうね・・・。」

 

 

不二は彼女の声を何処かで聞いた事があった。

 

それはラジオやテレビで流れるナレーション。

 

政府のCMで使われているナレーションだった。

 

 

 

 

「貴方は何故此処にいるのですか?」

 

 

「私は此処の関係者だからよ、私は上層部の人間なの。」

 

 

 

 

女の自慢げな顔に嫌悪感を覚えた。

 

 

 

 

「千石清純は死んでしまったわ。

 

どうせなら5歳の時に死んでくれればよかったのに・・・。」

 

 

 

 

不二は女の言葉にも嫌悪感を覚えた。

 

 

 

 

「・・・貴方は政府の人間なんですね、感情なんてまるでない。」

 

 

「そうよ、・・・そう・・・。」

 

 

不二は女に銃を向けていた。

 

 

「もう疲れてしまったのに、貴方に銃を向けているんです。

 

きっと僕は死んでしまっているのかも知れません。

 

でも政府の人間に復讐の意味を込めて殺して上げてるんですよ、貴方を。」

 

 

 

 

銃声と共に女の血で目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

死んでしまいたかったのよ・・・きっと・・・。”

 

 

 

“いつでも自分の汚さに嫌悪していたわ。”

 

 

 

 

 

 

「殺してしまったソレは人と呼べないからと殺しても良かったのか・・・。」

 

 

首輪の探査装置が起動した。

 

多分、僕が殺したからだ、人ではない人を。

 

 

現在、2日目

 

午前11時49分、不二周助、死亡。