子供達の聖戦

The Prince of Tennis in Battle Royale 〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Battle.34 福音が響き渡る

 

 

 

 

 

あんな中で生きてるなんて私って運がいいのか悪いのか。

 

重症でしかも手当て無しで一夜を空けるなんて

 

自分の生命力にウンザリする。

 

何で自分がこんな目に合うんだろうとか

 

そんな単純なことを何回も頭の中で繰り返したり

 

でも身体は段々動かなくなっていく

 

視界が凄く揺れて何も見えなくなる。

 

小さな傷口に土が付いてヒリヒリしてて

 

大きな傷よりも痛く感じる。

 

誰も信用できない心の痛みに比べればなんて事ないのかも知れないけど。

 

 

 

「この綺麗な朝焼けを見るのは最後かも知れないな・・・。」

 

 

 

私の声は空よりも高くに響いていった気がする。

 

だってそれが最後の言葉だったから・・・。

 

 

 

 

「死んだのか?」

 

 

 

 

 

人はこんなにも強いものなのかと考えさせられる。

 

彼女の様な姿に。

 

 

 

「人は誰しも何れ死ぬモノなのですよ。

 

それが早いか遅いか。

 

事故か人為か・・・それだけの違いなんです。

 

でも人の死ほど美しいモノは無いと私は思っています。

 

仁王くんがあんな死に方を選んだ事ですら

 

私には綺麗としか言いようがないんです。」

 

 

 

 

 

 

柳生は杏の遺体の手を組ませた。

 

 

 

 

 

「丸井くん、幸村くんは逃がした様ですね。

 

でも私は構いません、彼はこのゲームに忠実ですから。

 

私を楽しませてくれる最高の人物ですから・・・。」

 

 

 

柳生は丸井のしていたリストバンドを手に持っていた。

 

大きな銃声が聞えた。

 

このゲームが始まってから聞く何回目の銃声だろうか。

 

 

 

 

「この音こそが私の福音であり、私の最高の幸せである。

 

その信念が私を生き残らせているのかも知れない。」

 

 

柳生は手に持った丸井のリストバンドを投げながら

 

仲間の下へと戻った。

 

焦った様子をみせないといけないと柳生は思った。

 

幸村への不信感、恐怖感を煽らなければならない

 

そうしなければ仲間への信頼を得られないからだ。

 

そして涙ながらにジャッカルと丸井が幸村に殺されたと

 

言わなければという自分を喜ばせる期待だけが彼を動かしていた。

 

 

 

「・・・朝から申し訳ないのですが・・・。

 

先ほど私が近くを見回りに行ったら丸井くんとジャッカルくんが・・・。」

 

 

 

メンバーが見ても分からないような名演技に柳生は自ら酔っていた。

 

完璧に他人を騙す事に快感を覚えるのは昔からだ。

 

仁王が詐欺師と呼ばれた時から彼は仁王を自分と同じ人間と感じていた。

 

でも普段からそれを見せている仁王に自分は勝ち誇った気でいた。

 

 

 

「幸村くんに・・・殺されたのでしょうね・・・・。

 

幸村くんの武器で殺された跡がありました。

 

しかもジャッカルくんと丸井くんは近くに倒れていて・・・。

 

ジャッカルくんを殺してから多分いたぶる様に丸井くんを・・・・。」

 

 

 

「許せないな。

 

それにアイツは危険過ぎる。

 

近付かない方が身の為だ。

 

仲間すた売れる奴だ・・・・。」

 

 

 

「クソ、俺が・・・俺がアイツを殺してやる。」

 

 

 

「切原くん、それは危険ですよ。

 

彼は仁王くんも丸井くんもジャッカルくんもそして真田くんも

 

殺してしまったんだ。

 

もう正気なんてものはないと思います。」

 

 

 

3人になってしまった立海のメンバーは黙り込んでしまった。

 

 

 

「もう残りも少なくなってきましたね。

 

そろそろ個人で動いた方がいいのではないでしょうか。

 

仲間といえども裏切る者が出てきます。

 

私はそんな事疑いながら死ぬのはごめんです。

 

死ぬなら信頼関係のない方に殺されたい・・・。」

 

 

 

柳生の提案の2人は頷き3人は別々に歩き始めた。

 

 

 

 

「私は何よりも人の死が美しいと感じています。

 

ソレは何時も何処でも私の見えないところでも私は感じています。」

 

 

 

 

 

切原は途中で水を飲んだ。

 

その水の中には柳生の仕込んだ毒が混入されていた。