子供達の聖戦

The Prince of Tennis in Battle Royale 〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Battle.19   平和と空虚感

 

 

 

 

先輩達は今何をしているんでしょうか。

 

俺は何時も通りに授業を受けている。

 

氷帝は全国大会に進める事になったが、先輩達が居ない今は

 

中止が余儀なくされるだろう。

 

 

 

空を見上げると白い雲が綺麗な模様を造っている。

 

 

 

昼休みに誰も居ないコートに来た。

 

レギュラー陣の居ないコートは廃墟をイメージさせる。

 

昨日までは賑やかでうるさい位だったのに。

 

俺が先輩達と共に行かなかったのは無意味だったからだ。

 

たとえ俺が先輩達の元へ行ったとしても帰って来られる可能性は無い。

 

何故彼らが俺の元に来たかすら分からない。

 

政府は何故BR法を望むのか、何故殺し合わされるのか。

 

もし目的があるとしたら、それはきっと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「日吉は何してるのかな、樺地。」

 

 

「ウス。」

 

 

 

鳳と樺地は眠れない一夜を過ごした。

 

深夜に放送された中に自分達の先輩の名前が含まれておらず

 

内心安心していた。

 

 

 

 

「宍戸さん、まだ大丈夫みたいだね。」

 

 

「ウス。」

 

 

 

 

2人は3年生の元には行かなかった。

 

団体行動が危険である事を知っていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「日吉くん、この課題の事なんだけど・・・。」

 

 

日々は過ぎて行く、誰も気に止めずに・・・。

 

 

 

「先輩達なにしてるんでしょうか?」

 

 

 

「先輩ってテニス部の?

 

先輩達は練習試合に行っただけじゃない。

 

吉くん、行けなかったからって、もう。」

 

 

 

 

クスクスと笑うクラスメイトの声が鼻に付いた。

 

でも俺は何も無かった様に席へと着いた。

 

 

 

 

 

「バトルロワイヤルって本当にあると思うか?」

 

 

 

「それって何年か前に問題になったアレ?

 

でもあれって只の都市伝説でしょ?」

 

 

 

 

「じゃあ、何で先輩達は1日も帰ってこないんだ!」

 

 

 

 

自然と声がでかくなった。

 

周りに居た殆どの奴が俺の方を向いていた。

 

 

 

 

「先輩達は帰って来ないのは・・・・。」

 

 

 

「日吉くん、疲れてるんだよ。

 

テストと試合重なっちゃってたでしょ、だから。」

 

 

 

 

俺が席を離れて教室から出ようとしたら担任が教室に入って来た。

 

教壇に立つなりいきなり泣き崩れた。

 

 

 

「みんな、テニス部の乗ったバスが事故にあったらしい。」

 

 

 

俺は唖然とした、事故?

 

誰がそんな事・・・・。

 

 

 

「バスは山道の途中で落石に遭い崖に転落・・・。

 

生徒は助かったが重症らしい・・・。」

 

 

 

 

顔を抑えたままの担任は言葉少なめに机に顔を伏せた。

 

生徒達も全員が同様し始めた。

 

テニス部に入っている奴はクラスに5人はいる。

 

先輩であり尊敬している選手が事故に遭ったという事実は信じがたいのだろう。

 

俺は何も言わず教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

「政府の策略は完璧なんだな。」

 

 

どうしても信じられない。

 

今も先輩達が殺し合いをしているなんて・・・。

 

本当は事故でウソはBRなのではと思いたい。

 

何故かそう思える・・・なのに・・・・。

 

テニスコートを覗けばそこには先輩達が居る様な気がした。

 

でもそこには誰も居なくて・・・・。

 

静けさだけが漂っている。

 

 

 

 

「テニス部どうするんだろう、レギュラー居なかったら大会は出場中止だよね。

 

でも跡部様のお怪我軽ければいいけど・・・。」

 

 

 

跡部部長の取り巻きが側を通った。

 

その言葉で現実に引き戻される。

 

そうだ、事故だ。

 

先輩達は事故に巻き込まれたんだ。

 

お見舞いの言葉、考えておかないと・・・・。

 

リアルじゃないんだ、何もかもが、この世界は・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「樺地、俺日吉の事悪く考えすぎてたかも知れない。

 

だって俺が日吉だったら、やっぱり此処には来なかったよ。」