子供達の聖戦

The Prince of Tennis in Battle Royale 〜

 

 

 

 

 

 

Battle.18   大切な“モノ”は宝箱に

 

 

 

 

午前5時、外が明るくなっていた。

 

そして立ち入り禁止区域も解除された。

 

 

でも俺は何をしたらいいか分からない。

 

死ななかっただけマシなのだろうか。

 

 

 

昨夜の放送で聞いた、サエが死んだらしい・・・・。

 

何故、サエほどの運動神経の持ち主なら逃げる事くらい可能なはずだ。

 

 

 

 

「バネさん、禁止区域は解除されたんですから

 

元の場所に戻りましょうよ。

 

戻ったら剣太郎もいるかも知れませんし。」

 

 

 

「そうだな、でも亮のことが心配だな。

 

目の前で弟があんな事になったんだから。」

 

 

 

 

元の場所とは学校を出る前に決めていた集合場所だ。

 

 

 

 

 

「あぁ、戻るか。」

 

 

その時、ドンっと言う音がした。

 

人の倒れる音だった、そしてその先には見た事のある奴がいた。

 

 

 

 

「幸村・・・・。」

 

 

 

「六角中の黒羽に・・・君は?」

 

 

 

 

幸村は手に何かを持っていた。

 

それは死んだ人間、そして見覚えのある顔の人間だった。

 

 

 

 

 

・・・剣太郎、何で・・・・。」

 

 

 

 

「彼なら俺が殺したよ。

 

だって逃げるばかりで詰まらない子だったからね。

 

何でも皆で逃げるとか言ってたけど・・・・。」

 

 

 

 

 

クスクスと笑いながら言う。

 

 

 

 

 

殺した剣太郎をお前はわざわざここまで引きずって来たのか?

 

俺たちに見せるために・・・・。」

 

 

 

 

黒羽は拳を握り締めて幸村に殴りかかった。

 

 

 

 

「お前って奴は最低な奴だな!

 

仲間を売ってまで自分が勝ちたいか?」

 

 

 

「俺はね、頭の悪い奴は嫌いだよ・・・・。」

 

 

 

ドンっという音と共に幸村の上に馬乗りに成っていた黒羽は

 

仰向けに倒れていった。

 

 

 

 

「バカだね、相手が最高の武器を

 

持っている事すら分からなかったのかい?」

 

 

 

 

 

幸村の手にはシグ・ザウエルP230が握られていた。

 

 

 

「ねぇ、君もそう思うだろう?」

 

 

 

天根は動くことが出来なかった。

 

目の前にいるのは人ではないとすら思えてくる。

 

 

 

「でも答えなくっても良いよ!

 

う直ぐ仲間の所に逝けるんだから。

 

それとね、この銃・・・ね、木更津くんのなんだ。

 

もちろん、六角のね。」

 

 

 

バンという音が頭に響いた。

 

俺は一気に気を失った。

 

 

 

 

「弱いから死ぬんだよ。

 

弱いから・・・・。

 

姉さんもそう思うだろう?

 

大切なモノは宝箱にしまって置かないとね、なくなってしまうんだ。

 

彼女もそうだったよ、そして今は他の人の元にあるんだ。

 

それは最高に不愉快な気分になるだろう?

 

だから力ずくでも取り返しに行くのさ。」

 

 

 

 

声は空に響いていた。