子供達の聖戦

The Prince of Tennis in Battle Royale 〜

 

 

Battle.15 なんて残酷な遊戯

 

「侑士、これで暖は取れるな。

俺達ってラッキーだな。」

 

 

 

「あぁ、そうやな。

 

こんな場所で暖取れるなんてな。」

 

 

 

忍足の眼鏡には燃え上がる炎が移っていた。

 

 

 

『これで当っとるのやろうか?

 

こんな事してまで生きる事に意味なんてあるんやろうか?』

 

 

 

炎は風の所為で忍足の方へ向かって来た。

 

 

 

「侑士、寝袋だそうぜ。

 

せっかく温まったんだからさ。」

 

 

 

『無邪気って残酷やね。』

 

 

 

溜息を吐き、自分のデイバッグを開いた。

 

 

 

『もし、岳人が殺されていたら・・・俺はこんな事しとるんやろうか?』

 

 

 

岳人は自分のデイバッグを空けて言う。

 

 

 

「侑士、そろそろ12時だぜ。

 

一回目の放送、もうすぐだな。」

 

 

 

「そうやな。」

 

 

 

 

『海岸沿いで見渡しの良い場所でしかも火を使っている。

 

誰に見つかるか分かったもんじゃないな。

 

しかし、何で岳人はこんなにも気楽なんやろ。

 

まるで人を殺す事を虫の羽を千切るみたいに・・・。

 

それは残酷な遊戯のようやな・・・。』

 

 

 

 

遠くで並が岩に当たる音が聞える。

 

 

 

「俺、海って嫌いなんよ。

 

暗くて、怖くて、人や生物が生まれた場所やから。」

 

 

 

「ん?どうした。侑士。」

 

 

岳人はのん気に聞き返した。

 

 

 

「いや、何でもないんや。」

 

 

 

その時、大きな非常ベルの様な音が鳴り響いた。

 

 

 

「放送、始まるんやな・・・。

 

誰が死んで、誰が生きる残っとるのか・・・。」

 

 

 

 

 

 

『第一回目の放送を始めます。

 

死亡者、聖ルドルフ学園、赤沢吉朗、金田一郎、木更津敦。

 

野村拓也、不二裕太、観月はじめ、柳沢慎也。

 

青春学園桃城武、手塚国光。

 

六角中学校、佐伯虎次郎。

 

山吹中学校、室町十次。

 

立海大付属中学校、真田弦一郎。

 

不動峰中学校、石田鉄、伊武深司、内村京介、神尾アキラ。

 

桜井雅也、橘桔平、森辰徳。

 

以上、19名です。

 

今回はかなりのハイペースですが、殺している人は限られています。

 

ここから、立ち入り禁止区域の指定を始めます。

 

夜中ですので、移動は大変困難だと思われますので

 

くれぐれもご注意を。』

 

 

 

 

 

「本当に死んでしもうたんやな、不動峰。」

 

 

 

 

「そんなの当然だろう、俺の手榴弾投げたんだから。

 

あれで生き残ってたら、そいつバケモノだぜ。」

 

 

 

 

『本当に罪悪感がないんやな、岳人。

 

人の命ってこんなにも軽い物なんかな。

 

俺も岳人の作戦に乗ったんやから、同罪やけど。』

 

 

 

「しかし、まだ殺してない軟弱野郎がいるとは・・・。

 

ここは戦場なんだぜ、殺し合ってなんぼってもんだろ。」

 

 

 

岳人が話す間も放送は続いた。

 

 

 

 

『禁止区域は地図に記銘してある、エリアA〜Gまでの

 

海岸沿い、及びKの学校付近です。』

 

 

 

 

「岳人、A〜Gやて。

 

此処も禁止区域やで、移動せなあかんな。」

 

 

 

 

「ちっせっかく暖が取れたのによ。」

 

 

 

忍足は岳人の顔をじっと見つめて言う。

 

 

 

 

「政府がカメラで見張ってるのかもな。

 

俺達がここで暖取ってるん知って技と指定したのかもしれんで。」

 

 

 

 

『禁止時間は午前12時30分〜午前5時までです。

 

くれぐれも自殺などという下らない考えを持たないように。』

 

 

 

 

「そうかもな、そうじゃなきゃ面白くなぇしな。」

 

 

 

 

『彼は純粋過ぎてあまりのも残酷だ。残酷で綺麗で子供のままだ。

 

誰も気付いていなかった子供は残酷という事に

 

政府は気付いてしまったのだろう・・・・。』

 

 

 

 

 

「早く、移動しようぜ。」

 

 

 

火、消さなアカンやろ。」

 

 

 

 

「何言ってんだよ、ここは戦場なんだぜ。

 

誰も火が点きっ放しなんて気にしない。」

 

 

 

 

 

 

一瞬だけ忍足の顔が強張った。

 

 

 

 

 

 

『俺はお前が凄く怖いわ・・・、岳人。』