子供達の聖戦

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

 

 

Battle.11 此処に希望は無い、でも光あれ

 

 

 

 

 

 

「何で、私だけ?」

 

 

杏は自分で歩いて来た道を見返した。

 

途中に血が付いた草があったが杏は自分でも驚くほど落ち着いていた。

 

 

 

『兄さんは・・・、

 

兄さん達は何処に行ったんだろう?』

 

 

 

頭で朦朧とする自分の人格ともう一人の人格が戦い始める。

 

 

 

杏、アンタは戦うのよ。

 

だから兄達と離れたんでしょう?

 

待ち合わせ場所に行かないんでしょう?』

 

 

 

『違う、違うの。

 

私、道に迷っているの。

 

兄さん達の場所が分からないだけ・・・。

 

分からないだけよ。』

 

 

 

杏はふらふらと自分の足の先を見た。

 

こには血が付いた人間が転がっていた。

 

 

 

 

 

「・・・・!!」

 

 

 

杏の目の前には頭部から血を流した桃城が倒れていた。

 

 

 

「モモシロくん・・・。

 

しっかりしてよ、ねぇ・・・・。」

 

 

 

冷たく成った桃城の方を強く揺すった。

 

 

 

「モモシロくん・・・・・。

 

起きてよ、嘘でしょう?

 

本当に殺し合いなんて始まってるの?」

 

 

 

杏が頭を上げると少し離れた木の陰から長い髪が見えた。

 

 

 

桜乃ちゃん?」

 

 

 

杏は自分の目を疑った。

 

 

 

桜乃の後ろを青学ジャージが血だらけの男が追いかけていたからだ。

 

 

 

『手塚さん?!

 

何で血だらけなの?

 

・・・まさか手塚さんがモモシロくんも殺した?』

 

 

 

杏は何も考えずに走り始めていた。

 

 

 

『このまま走っていたら桜乃ちゃんは捕まる。

 

彼女もモモシロくんみたいに殺されちゃう・・・・。』

 

 

 

 

「桜乃ちゃん!!

 

こっち、こっちに走って!!」

 

 

 

杏は自分の方に桜乃を呼んだ。

 

その声に桜乃は思いっきり転んだ。

 

 

 

 

「きゃぁ〜。」

 

 

 

「桜乃!!」

 

 

 

手塚が声を上げると杏は驚いた。

 

 

 

『このまま桜乃を置いて逃げたら?彼女は殺されてしまう?』

 

 

 

自問自答して杏は答えを決めた。

 

 

 

『私、この娘を助けられない。

 

殺し合うのがルールなの、助けられない。』

 

 

 

 

 

『そうよ!

 

殺さなきゃ、殺さないといけないの。

 

仕様が無いでしょ?アンタが勝ち残るためよ。』

 

 

 

杏は自分の来た道を引き返し始めた。

 

 

 

桜乃は立ち上がり廃病院の中へ掛けて行った。

 

 

 

 

『ねぇ、私は正しいの?』

 

 

 

『今は手塚を殺すのが先よ!!

 

アイツは今、あの娘に気を取られてる。

 

アンタの武器はボーガンよ。

 

十分勝率はウチにあるわ。』

 

 

 

 

 

杏は立ち止まり手塚に視線を向けた。

 

 

 

 

 

『手塚さん、貴方のことを真っ先に殺す事に

 

なるとは思わなかったわ。』

 

 

 

 

『さぁ、打て!!』

 

 

 

 

杏は自分のタイミングでボーガンを放った。

 

 

 

 

 

『・・・手塚さんは仲間を裏切った、

 

もしかしたら私も兄たちに裏切られる運命かもしれない。』

 

 

 

 

 

 

此処に希望は無い・・・でも光あれ・・・・

 

 

 

 

 

 

手塚の首に杏の放った矢が刺さった。

 

 

 

 

 

死亡 手塚国光