子供達の聖戦

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

  Battle.10 仲間を守りたい、でも彼は居ない・・・

 I want to save the friends, but he is not・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ジロー、大丈夫か?」

 

 

 

「うん、少し傷が痛むけど・・・

 

 

平気だよ、池の水が汚かったからかな。」

 

 

 

跡部は滋郎の体の傷よりも心の傷が心配だった。

 

 

信頼していた宍戸にあんな形で裏切られたのだから。

 

 

木の陰に滋郎を寝かせ応急処置を始めた。

 

 

 

「ジロー、少し染みるかもしれないが暴れるなよ。

 

 

ちゃんと手当てしないと感染症に成るかも知れない。」

 

 

 

 

滋郎のジャージは右腹部を軽く刺されていた。

 

 

 

 

「傷は浅いみたいだな。」

 

 

 

 

「・・・俺、自分で池に飛び込んだんだ。

 

 

宍戸から逃れるにはそうするしかなかった。

 

 

そうじゃなかったら俺殺されてたかも・・・。

 

 

でも何で宍戸が?」

 

 

 

 

「俺に言える事は宍戸はゲームに乗った。

 

 

理由は分からないが・・・

 

 

俺を狙って来ることは間違いない。」

 

 

 

 

滋郎の傷口に水を掛けていく。

 

 

 

 

「跡部、あんまり水使わないで。

 

 

あとで困るよ・・・。

 

 

それに地図ではここから先に湖があるみたいだよ。

 

 

そこの水で良いじゃない。」

 

 

 

 

 

滋郎の声に跡部は平然と言い返した。

 

 

 

 

「飲む水ならその湖のを温めて除菌すれば良い。

 

 

傷の手当ては大至急だからな。

 

 

それよりジロー、俺達のジャージ、その湖で洗って来ていいか?

 

 

ここで待っていてくれれば行ってくる。」

 

 

 

 

「跡部、頼んだ。

 

 

実は俺もびしょびしょで気持ち悪いんだよね・・・。」

 

 

 

跡部は自分の上着をジローに掛けて湖のほうへ走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

『宍戸、お前は何を見ているんだ?

 

 

お前は俺の何を知っていると言うんだ?

 

 

何故、俺達を裏切ったんだ?』

 

 

 

 

 

 

 

「風の音が聞える・・・。

 

 

これから殺し合いが始まるんだ。

 

 

誰にも止められない・・・俺にも・・・

 

 

母さんにも・・・・父さんにも・・・。

 

 

俺は生きて帰る・・・兄貴の様には成らない。」

 

 

 

 

宍戸は小さな島を見つめた。

 

 

 

 

「兄貴はあそこで眠っている、

 

 

母さんは兄貴に逢いたかっただろにな・・・。

 

 

今日は花も土産もない・・・。

 

 

此処で見守っていてくれよ、兄貴。」

 

 

 

 

戦いは始まったばかりなのだから

 

 

 

 

「宍戸、お前の辛さを俺は理解できるかな?」

 

 

 

 

滋郎は空を見上げて呟いた。

 

 

 

 

 

「明日は何時も通りのミンナに会えますように・・・。」