子供達の聖戦

~The Prince of Tennis in Battle Royale~

 

 

 

Battle.1  叶える事の出来ない夢

 

 

「全国三連覇、立海大の目標はそれだけだ!」

 

 

 

立海大付属中学校、この学校はテニスが強い事で有名である。

 

去年、そして一昨年と彼等は全国制覇を果たした。

 

 

 

「真田、全国大会では俺の復帰を待っていてくれ・・・・

 

必ず全国までには直すから。」

 

 

 

まるで少女の様な美しさの少年幸村精一は帽子の男、

 

真田弦一郎にそう告げた。

 

 

 

「幸村、お前は心配するな。立海は関東ぐらいじゃ負けはせん。

 

赤也や他の後輩達に任せてもいいくらいだ。」

 

 

病院の独特の雰囲気が幸村をより弱弱しく見せた。

 

 

 

『幸村はこんなに繊細な奴だったのだろうか?テニスをしていた頃は

 

 誰よりも強く見えていたというのに・・・・』

 

 

 

 

「・・・・真田・・・」

 

 

 

「!? 何だ幸村・・・・」

 

 

 

「・・・絶対、全国制覇してやろうな。

 

立海に俺達の3年間の名を刻もう。」

 

 

 

 

「あぁ、解っている。幸村と俺と蓮ニの3年間を・・・」

  

 

 

 

7月20日、天候晴れ

 

立海大は関東大会決勝で惜しくも青学に敗れた。

 

真田弦一郎はルーキーに負けると言う屈辱を味わった、

 

幸村なしでも行けると思っていたシングルスで見事3連敗を喫したのだ。

 

それでも幸村はメンバーを攻めなかった、

 

自分で志願した監督の仕事が出来なかったからだ。

 

しかし、立海メンバー達は青学にリベンジを誓い

 

全国へと乗り込もうとしていた矢先だった。

 

あの事件が 起こったのは・・・・・

 

 

 

「君が幸村精一くん、かい?」

 

 

 

病院のベッドの上で横たわる幸村に声を掛けたのは

 

全身黒尽くめの男だった。

 

 

 

「あなたは・・・」

 

 

「私は国の者ですよ、今回のプログラムを実行、監督する。」

 

 

 

『国・・・政府か!?何でこんな所に?

 

しかも自分から名乗るなんて何を考えているんだ?』

 

 

 

「今回のBR法の適正者に選ばれたのは・・・

 

立海大付属中テニス部、レギュラーです。

 

しかも、東京、関東大会に出場したチームが選ばれました。

 

幸村くんは現在レギュラーを外れているので適正とはいえません、

 

しかし・・・・全国の優勝候補のチームの主将が

 

適正から外れるのが残念でなりません。

 

ですから全国大会への切符を剥奪させていたたきます」

 

 

 

幸村は政府関係者の目を見つめて言った。

 

 

 

「で、何が言いたいんですか?俺もゲームに参加しろとでも」

 

 

 

「えぇ、貴方が参加してくれたら特別に

 

他の方より優遇して差し上げますよ。

 

全国、3連覇したいんでしょう?

 

あなたなら個人戦で優勝なんて容易いでしょう?

 

学校の期待に応えたくはないのですか?」

 

 

 

『・・・全国制覇、俺の夢。当たり前に成った言葉でもやっぱり・・・』

 

 

 

「俺は・・・参加します。貴方達政府のゲームに・・・」

 

 

 

政府関係者は口だけで微笑みながら幸村を見つめた。

 

 

 

「了解しました、それでは車を回します。

 

それまでに制服に着替えておいてください。

 

出発は8時40分、時間厳守です。」

 

 

 

幸村の瞳には只、目の前の絶望のその後しか見えてなかった。

 

 

 

『3人で果たそうとした夢、俺が壊してしまった。

 

 プログラムに乗るなんてどうかしているのかもしれない・・・・

 

でも俺には必要なんだ、全国制覇、

 

否テニスプレイヤーとして認められる事が』

 

 

 

「・・・今、幸村くんも参加する事が決まりました。

 

皆さんも気を引き締めて殺し合いをするように。

 

彼や、立海は皆さんよりも優遇される事に成りますから・・・」

 

 

 

軍事服の男は気味の悪い微笑で言った、

 

まるで幸村や立海を標的に晒す事を。

 

 

 

「真田副部長、大変な事に成りましたね。

 

 幸村部長も参加なんて。部長まだリハビリ段階なんすよね。」

 

 

 

赤也の声が聞えないほど真田は唖然と汚れた教室を眺めていた。